テイコク

岐阜県 調査・設計・管理・測量・開発のテイコク

WWW を検索 サイト内を検索
google
HOME > がんさんのお天気コラム > 冬型の気圧配置 「西高東低」

冬型の気圧配置 「西高東低」

  お天気コラムをご愛読いただき、ありがとうございます。
  本コラムを担当する気象予報士の「がんさん」こと村山巌です。本年もよろしくお願いいたします。


1月5日は小寒、20日は大寒 -寒さはこれからが本番-

  年末年始の天気を振り返ると、例年のように年末には寒波が襲来しました。
  岐阜市の12月28日の最低気温は、-2.1℃と平年の1.1℃を大きく下回り、また、関ヶ原町では積雪が22cmになるなど、厳しい寒さに見舞われました。一方、正月三が日は美濃地方では曇の日が多く、一時的には雨が降り、初日の出が見られませんでした。

  1月5日は小寒、20日は大寒と、ますます寒くなり、2月4日の立春にかけて厳しい寒さが続きます。小寒とは「寒さが加わる頃との意味で寒の入り」と言われ、いよいよ寒さの本番を迎えます。
  特に大寒以降は1年で最も寒く、岐阜市の平年の最低気温は、1月28日~2月2日の0.0℃が最低です。最低気温の1位は、1927年1月24日に-14.3℃を記録しており、上位10位までのうち9回が、1月5日~2月4日の寒中に記録しています。なお、上位10位まで、すべてが1940年以前に観測されており、昔に比べ温暖化が進んでいる感じがします。


冬型の気圧配置「西高東低」

  「今日は西高東低の冬型の気圧配置になり、日本海側では雪、太平洋側では晴れの天気になるでしょう」との天気予報を耳にします。
  日本付近では、西から低気圧と高気圧が交互に移動して天気が変わります。冬の時期には日本付近を通過した低気圧が発達し、そのあと西から強い寒気を伴うシベリア高気圧が張り出し、「西に高気圧、東に低気圧」の西高東低の冬型の気圧配置になります。
  下の天気図は、昨年末岐阜市で-2.1℃を記録した前日(12月27日)のものです。

 

  冬型の気圧配置になると日本付近では等圧線が混み合い、北寄りの強い風が吹きます。
  水が高いところから低い所に流れるように、風も気圧の高いところ(高気圧)から低いところ(低気圧)に吹きますが、気圧の差が大きいほど(等圧線が混み合っているほど)強い風が吹きます。ある書物では、「一般的には100km当たりの気圧差に7を掛ければおおよその風速が推定できる」とあります。

  12月27日の天気図で計算してみましょう。
  等圧線は4hPaごとに描かれていますが、東経130~140度の間には5本あることから、この間の気圧差は16hPaになります。北緯35度付近の東経130~140度の間の距離は約910kmですから、100km当たりの気圧差は1.75hPaになり、風速は1.75×7≒12m/sとなります。なお、当日の岐阜市の最大風速は7.3m/s、最大瞬間風速は14.5m/s、伊勢湾にある愛知県のセントレアではそれぞれ16.2m/s、19.0m/sでした。
  風は地形の影響を大きく受けるため、計算結果は観測値と異なりましたが、大まかな目安になると思います。


  上の気象衛星画像を見ると、シベリア大陸から日本列島にかけて筋状の雲が見られます。
   この筋状の雲は地上の気温-20℃以下のシベリア大陸からの強い寒気が日本海を通過するときに、比較的暖かい日本海の海面(12℃以上)から水蒸気が供給されて発生、発達した積雲です。この積雲(雪雲)が日本海側に雪を降らせ、筋状の雲と大陸との距離が近いほど寒気の流入が激しく、距離が離れるほど寒気の流入が弱くなり、日本海側の雪がおさまっていきます。

  これから2月下旬までは、西高東低の強い冬型の気圧配置になり、寒い日が現れます。
  気象庁のホームページで天気図や気象衛星画像を見ながら、強風や寒さを自分で予想してはいかがでしょうか。
  来月は暦では春。しかし、太平洋側で雪が降ることがあります。2月号は春の雪の話題をお届けします。