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春先の低気圧


  日本付近には引き続き寒気が流入していますが、東京では1月26日にウメの開花が発表されたものの、その数日後の30日に一転3cmの積雪を観測しました。

  2月にはいっても、1日には大雪により寝台特急トワイライトエキスプレスが青森県で立ち往生、9日には日本列島上空5,000mには-45℃の寒気が入り、10日には福井県で車200台以上が立ち往生するなど、日本海側では大雪に見舞われました。
  また、県内でも2月10日に雪が降り、岐阜市で5cm、白川村では236cmの積雪となりました。

  立春を過ぎ暦の上では春になったものの、まだまだ厳しい日があります。一方で、2月16日の岐阜市の最高気温が3月中旬並みの12.8℃を観測するなど、寒暖を繰り返しながら春に向かっていきます。

春先の低気圧の進路

  今年に入り、2月20日までに日本付近を通過した低気圧は11個あり、ほとんどが北海道沖で進行速度が遅くなり、また急速に発達しました。そのため、日本付近は西高東低の強い冬型の気圧配置になり北日本に暴風雪をもたらし、北海道地方では1月7日以降暴風雪警報が6回出されました。
  また、本州の南岸を6個の低気圧が通過しましたが、その中には関東地方に雪をもたらしたものもありました。



平成27年2月12日9時
平成27年2月15日15時
〈 地 上 天 気 図 〉

  上の二つ天気図は、2月12日に房総半島沖と能登半島沖にあった二つの低気圧(ともに1006hPa)が、15日には北海道東方に進み一つになり、976hPaまで発達した時のものです。

  15日には中国東北区にある1026hPaの高気圧と、北海道東方の976hPaの低気圧との間の気圧差は50hPaになり、等圧線が非常に混み合っています。このため、北海道に暴風雪警報が発令され、稚内では最大瞬間風速29.0m/sを観測しました。


なぜ低気圧(温帯低気圧)は発達するのか?

  空気には気温が高くなるほど重量が軽くなり、温められると上昇する性質があります。
冬に暖房した部屋の窓を開けると、外から冷たい空気が急激に入ってきます。これは、外気の方が温度が低く重いことから下降しながら部屋に入り、部屋の中の暖気は冷気の上を上昇しながら外へ流れ出ていきます。

  低気圧は、この現象と同様に南北両側の気温差をエネルギー源にして発生し、気温差が大きいほど発達します。下の図のように北からの寒気が下降しながら南下し、南からの暖気が上昇しながら北上して低気圧が発生・発達します。


低気圧発生時の断面模式図

  日本列島のある中緯度付近は、南の暖気と北の寒気がせめぎあっています。このせめぎあいの中で、何かの原因でどちらかが優勢になると前線が波うち、その中心に気圧の低い所ができ、低気圧が発生して等圧線が円形になります。

  春先の時期は、日本の南方では太陽放射により気温がだんだん上昇していますが、北方にはまだ強い寒気があり、この寒気が日本付近に流入すると、急激な気温差が生じて低気圧が発生します。気温差がさらに大きくなると低気圧はより発達します。

  このため、春先は低気圧が多く発生し3~4日ごとに日本付近を通過し、晴天が長続きしません。通過の際には南からの暖気が入り気温は上昇、通過後には冬型の気圧配置になり寒くなります。
  こうした天気を繰り返しながら、やがて春本番を迎えます。

 


我が家の庭にて(撮影日1月25日)
*残念ながら、つがいでの写真は撮れませんでした

  岐阜市の平均気温は2月中旬過ぎには10℃をこえ、温かい日には15℃以上になり、いよいよ屋外活動に適した季節が始まります。



【一口コラム】
暴風雪警報とは

  暴風雪警報は、雪を伴う暴風により重大な災害が発生するおそれがあるときに発表されます。に加えて「雪を伴うことによる視程障害(見通しが利かなくなること)などによる重大な災害」のおそれについても警戒を呼びかけます。
  「大雪+暴風」の意味ではなく、大雪により重大な災害が発生するおそれがあると予想したときには、大雪警報を発表します。
なお、暴風のみの場合は暴風警報が発表されます。