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北日本に4個の台風上陸


8月以降の天候

  8月の日本は、太平洋高気圧におおわれ日照時間が多く、全国的に強い日射を受けて気温が高くなり、特に西日本では気温の上昇が顕著でした。

  一方、北日本では8月9日の台風5号の接近を皮切りに、台風6号、7号、9号、10号と相次いで接近・上陸したため、降水量は非常に多くなりました。特に、太平洋側では平年の2.3倍になり、8月としての1位の記録を更新しました。

  岐阜でも、9月上旬まで日照時間は平年に比べて多く、気温も高めに推移しました。中旬にはいると、気温は平年並みであったものの、台風16号や前線の影響により日照時間は平年の約2割の10.9時間、降水量は平年の倍近い176㎜になりました。


岐阜の8月~9月中旬までの気候
  8月上旬 8月中旬 8月下旬 9月上旬 9月中旬 期間値
日照時間
(hr)
105.8
(69.5)
64.4
(64)
68.1
(68.7)
72.6
(58.6)
10.9
(51.2)
321.8
(254.4)
平均気温
(℃)
29.6
(28.3)
29.3
(28.1)
27.8
(27.4)
27.3
(26.2)
25
(24.2)
27.8
(26.8)
降水量
(mm)
55.5
(34.8)
23
(51.7)
30
(62.4)
47
(65.5)
176
(91.5)
331.5
(305.9)
(  )平年値



8月中旬以降台風が次々襲来

  本コラム前々号(040)で報告したように、今年の台風1号の発生は過去2番目に遅い7月3日でした。しかし、その後次々に発生し、9月20日現在16個になりほぼ平年並み(9月末の平年値18.5個)になりました。下表のとおり、日本本土に接近した台風は9個、上陸した台風は過去2番目の6個です。

 今年の台風の特徴は、8月9日からの3週間のうちに6個の台風が相次いで北海道・東北地方に接近・上陸したことです。北海道への上陸数3個と東北地方の太平洋側への上陸は、1951年の統計開始以来初めてのことです。このため、北海道、岩手県を中心に広い範囲で大きな被害が発生しました。

今年本土に接近・上陸した台風
月  日 番  号 上陸場所等
8月9日 台風5号 東北・北海道に接近
8月15日 台風6号 北海道に接近
8月17日
台風7 号
北海道に上陸
8月21日
台風11号
北海道に上陸
8月22日
台風9号
千葉県に上陸、北海道再上陸
8月30日
台風10号
岩手県に上陸
9月5日
台風12号
長崎県に上陸
9月7日 台風13号 九州に接近
9月20日
台風16号
鹿児島県に上陸、和歌山県に再上陸
注:赤字は上陸した台風


  下の図は、北西太平洋の8月の海面水温を表した図に、今年日本本土に接近・上陸した台風が発生した場所を●で表したものです。日本に接近する多くの台風は、一般的に北緯10度~25度の間の緑色の線で囲まれたところで発生します。

  台風10号と11号は、一般的にあまり発生しない北緯30度以北の日本の近海で発生しています。これは、台風発生の条件となる海面水温27℃以上の区域が日本の南岸、日本の南東では北緯30度付近まで広がっていたためです。

(注)緑線の枠:一般的な台風の発生区域

8月の海面水温図及び台風発生場所
気象庁Webサイトより



北日本に台風が上陸した理由

  8月20日の天気図を見ると日本の南に3個の台風があり、日本付近には夏をもたらす太平洋高気圧が見られません。

日本の南に3個の台風(天気図8月20日15時)
気象庁Webサイトより

  この理由は、下の図に示すように、8月の北西太平洋の大気の流れは、フィリピン付近から日本の南東海上にかけて対流活動が活発になりました。また、日本の南東海上では、活発な対流活動に加えて、太平洋中部の気圧の谷から分離して、西に進んだ上空の低気圧性の渦に対応して、台風が発生しやすい状況になりました。また、偏西風の蛇行により日本の東の上空の風が南寄りになり、太平洋高気圧は日本付近から日本の南で平年より弱く北東に偏ったところに位置しました。

  このため、日本の南東海上で発生した台風は、高気圧の縁辺をまわるように日本の東を進み、上空の南寄りの風により北日本に接近・上陸しました。(気象庁資料抜粋)

日本の南に3個の台風(天気図8月20日15時)
気象庁Webサイトより



秋の青空にトンボが

  岐阜では9月7日を最後に熱帯夜から解放され、朝晩は少し涼しくなりました。
秋の長雨が終わればいよいよ季節は秋、さわやかな晴天のもとスポーツや行楽などに絶好の季節になります。

先日、我が家の庭にシオカラトンボが現れましたが、秋といえば赤とんぼが代表的です。赤とんぼが上空を優雅にゆっくり飛ぶ姿をから、楽天的にのんびり暮らしていることを「極楽とんぼ」といいます。スポーツ、行楽もいいですが、のんびり秋の一日を過ごすのも魅力的です。



シオカラトンボ
(撮影:9月18日)

【一口コラム】
台風の接近・上陸とは

 台風の中心が、それぞれの地域の気象台等から300km以内に入った場合を接近といいます。
   また、台風の中心が、北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合を上陸といい、小さい島や半島を横切って短時間で再び海に出る場合は、上陸ではなく、通過といいます。