10月6日に南鳥島近海の北緯 15度、東経 155度付近で発生した台風19号は、マリアナ諸島を西に進み、7 日には、中心気圧 915hPa、最大風速 55m/sの大型で猛烈な台風に発達しました。
その後、次第に進路を北に変え日本の南を北上、12 日19 時前に中心気圧 955hPa、最大風速 40m/s、暴風域(風速25m/s以上)300km の大型で強い勢力のまま伊豆半島に上陸しました。
上陸前の12 日9 時の気象衛星画像(可視)では、本州全域が台風の雲に覆われ、その大きさがよくわかります。その後、関東地方を通過し福島県東部から太平洋に出て、13 日12 時に日本の東で温帯低気圧に変わりました。
静岡県、新潟県、関東甲信地方、東北地方を中心に広い範囲で大雨、暴風、高波、高潮となり、10 日~13 日までの総降水量は、神奈川県箱根で 1000 ㎜に達し、東日本の 17 地点で 500㎜を超えました。
箱根の日降水量は、今まで1位の高知県魚梁瀬の 851.5㎜を大きく上回る 922.5㎜を記録しました。また、12時間降水量で 120地点、24時間降水量で 103地点、48時間降水量でも 72地点で観測史上1 位の記録を更新しました。
特に12 日は、15 時過ぎから、静岡県、神奈川県、東京都、埼玉県、群馬県、山梨県、長野県、茨城県、栃木県、新潟県、福島県、宮城県、岩手県の1 都12 県に順次大雨特別警報が発表され、最大級の警戒が呼びかけられました。
気象警報図に示すように、九州北部から北海道南部までの、ほぼ日本全域に暴風警報が出され、岡山県、兵庫県、滋賀県の一部でも 30m/sを超す最大瞬間風速を観測しました。台風が直撃した関東地方では、大規模な停電を起こした台風15号よりやや弱かったものの、東京都江戸川臨海で最大瞬間風速 43.8 m/sを観測し1位の記録を更新したほか、関東地方の7地点で最大瞬間風速 40m/sを超えました。
この台風により、広い範囲で河川が決壊・氾濫、土砂災害も相次ぎ、死者等が 90名を超す甚大な被害が発生しました。
私も改めて「岐阜市の洪水ハザードマップ」や「長良川洪水浸水想定区域(国土交通省)」を確認しました。
台風19号の12時間降水量の最大は神奈川県箱根の 729.5㎜でしたが、「長良川洪水浸水想定区域」の計算のもとになる想定最大規模降雨量の12時間降水量 421㎜は、19号により観測された降水量の11番目にあたります。
もし、台風19号が東海地方を直撃していれば、長良川で越水・決壊が発生し、岐阜でも大きな被害になっていた可能性がありました
みなさんも、自分が住む地域をよく確認しておくことが重要です。
台風進路予報の検証
下の図は、台風19号の10 月6 日15 時と 9 日15 時発表の5日間進路予報図に、実際の台風経路(黒色)を記入したものです。
6 日15 時の進路予報図では、8 日15 時までほぼ予報円内を進んでいましたが、その後進路を北寄りに変え(転向)11 日15 時には予報円を大きく外れました。しかし、転向後の9 日の進路予報図では、ほぼ予報円内を通りました。
地上天気図を見ると、10 月6 日の日本付近は大陸から連なる高気圧に覆われていましたが、8 日になると高気圧が日本の東に去り、日本付近は低圧部に入りました。そのため、西進していた台風19号は進路を北に変え日本にやってきました。
一般的に10月になると太平洋高気圧の勢力が弱まり、大陸から高気圧が張り出すため、台風は日本の南で進路を北西から北東に変え。日本の東を通過します。
台風は上層の風に大きく影響を受けるため、いつ転向するか予測は難しく、今回は少し早めに転向したようです。なお、予報円内に入る確率は、70%です。
今月の写真
先日、梨やブドウ畑が広がる美濃加茂市山之上地内で、大きな鳥?を見つけました。なにかと思い近づいてみると、1m近くある鳥の形をしたカイト(凧)でした。果樹を食べにくる野鳥を追い払うために飛ばせているようです。
一口コラム
洪水浸水想定区域図と洪水ハザードマップとは
洪水浸水想定区域図とは、国土交通省、県等が管理する洪水予報河川で、想定し得る最大規模の降雨(1000年に1回程度)により、河川の氾濫が予想されるエリアと、浸水深と浸水継続時間を表したもので、国土交通省、県が作成し公表しています。
洪水ハザードマップとは、洪水浸水想定区域図に避難場所や洪水時の避難の確保のために、必要な事項等を記載したもので、市町村が作成し公表しています。