菜種梅雨
菜種梅雨
4月上旬の東海地方は、5日までは晴天が続き、降雨はほとんどありませんでした。しかし、6日以降は日本の南岸に前線が停滞し、前線上を低気圧が通過したため、曇雨天が続き雨量が多く、日照は非常に少なくなりました。
岐阜では下表のように4月6日~11日の日照時間はほぼゼロ、降水量は85.5㎜と多く、ぐずついた梅雨のような天候になりました。
冬期の間は大陸の高気圧が日本付近に張り出していましたが、春になると張り出しが弱まり、日本列島は高気圧の南側に入ります。このため、本州の南岸沿いに前線が発生し、停滞しやすくなり、その前線上を小さな低気圧が通過し、曇りや雨が降りぐずついた天気が続くことがあります。ちょうど、この時期に菜の花が咲くことから、この梅雨のような天候を「菜種梅雨」といいます。
これとは逆に、季節が秋から冬に変わる頃には、太平洋の高気圧に替わり北から大陸の高気圧が勢力を強め、日本列島は高気圧の南側にはいるため、「菜種梅雨」と同じような天候になります。この天候をこの時期に咲く「さざんか」の名を取り、「さざんか梅雨」と呼ぶことがあります。
日本海低気圧 メイストーム
岐阜市内のさくらは平年並みの3月28日に開花、4月4日に満開になり、5年ぶりに満開のさくらの下で入学式が行われました。開花、満開の時期はともに過去10年間で3番目に遅く、16日の日曜目でもまだ花見ができました。しかし、17日は岐阜でも大荒れの天気になり、今年のさくらは終了しました。
4月17日~18日にかけて、低気圧が発達しながら日本海を北東に進み、全国各地で警報が発表されるなど日本列島は大荒れの天気になりました。下の警報発令状況図のように、4月17日は高知県魚梁瀬で24時間雨量が286.5㎜となり4月の1位の記録を更新、また高知県室戸岬では最大瞬間風速35.4m/sを記録するなど、中国四国地方を中心に西日本は大荒れの天気になりました。
18日になると低気圧が北日本まで進み、東日本には南から暖気が流入したため、各地で強風が吹き、群馬県内で30℃を超す気温を観測するなど、気温が上昇しました。一方、北海道には低気圧に伴う寒気が入り、道東では気温が下がり、十勝地方では24時間降雪量が20㎝を超えました。
春先になると、ひんぱんに高気圧と低気圧が日本付近を交互に通過します。発達しながら低気圧(日本海低気圧)が日本海を通過すると、前半は南からの暖かく湿った気流により大雨や強風が吹き、気温も上昇します。しかし、寒冷前線の通過後は冬型の気圧配置になり、気温が低下することがあります。
初春の頃の日本海低気圧は、本コラム047「東海地方で春一番が吹く」のとおり、春一番をもたらしますが、5月頃の日本海低気圧は「メイストーム」と呼ばれる春の嵐になることがあります。
一口コラム
■メイストームとは
春の終わりの頃は、初夏の暖気と冬の寒気がぶつかりあい、空気の温度差が非常に大きくなります。このため、日本海や北日本を通過する低気圧が急激に発達し、広い範囲で天気が急激に変わり、荒れた天気となります。5月頃に現れる、この春の嵐をメイストームといいます。