記録的短時間大雨情報が頻発
東海地方7月19日梅雨明け
7月19日に、東海地方を含め四国から関東甲信地方までの梅雨明けの発表がありました。
今年の梅雨は7月に入っても、下図のように降水量は北海道から九州の太平洋側で平年に比べ少なく、それ以外のところでは多くなりました。気温は、全国的に平年より1℃以上高く、特に北海道から関東及び日本海側では平年に比べ約2℃以上高くなりました。
岐阜県内の梅雨の期間(6月7日~7月18日)の降水量は、梅雨入り前半の空梅雨が影響したのか、岐阜で356.5㎜(平年比88%)、高山で240㎜(平年比77%)、特にひるがのでは345㎜(平年比52%)、樽見でも353㎜(平年比55%)など山間部では非常に少なく、今後の水不足が心配になります。
全国各地で集中豪雨
台風3号が7月4日に長崎県に上陸、その後太平洋沿岸を東に進み、関東地方の沖で低気圧になりました。
4日夜から5日にかけて、中国地方にあった梅雨前線に太平洋高気圧のふちをまわる暖湿流が流入し、島根県では大雨特別警報が出され、総降水量は350㎜を超えました。
5日午後には、梅雨前線が九州北部まで南下、九州北部で東シナ海からの南西の暖湿流と朝鮮半島からの西よりの風が収束し、福岡県、大分県で局地的な大雨になりました。特に両県県境付近では、線状降水帯が形成され猛烈な雨が降り続き、18時前に福岡県に、20時前には大分県に大雨特別警報が発表されました。
福岡県朝倉市では、1時間雨量129.5㎜を観測し、6時間で368.5㎜、12時間で511.5㎜、24時間雨量は545.5㎜の記録的な大雨になりました。大分県日田市でも、1時間雨量87.5㎜を観測し、6時間で302㎜、12時間で330.5㎜、24時間雨量は370㎜のという記録的な大雨になり、九州北部では土砂災害や河川が氾濫し、死者は30名を超えました。
九州北部に豪雨をもたらした原因は、気象研究所の「平成29年7月5-6日の福岡県・大分県での大雨発生要因について」
(http://www.jma.go.jp/jma/press/1707/14b/press_20170705-06_fukuoka-oita_heavyrainfall.html)
によると、
線状降水帯が同じ場所に停滞したため大雨になり、この線状降水帯は背振山地東側で繰り返し発生し、猛烈に発達しながら東へ移動し形成・維持され、同じ場所で強い雨を継続的に降らせた。
大雨の発生の要因は次のことが考えられる。
①梅雨前線の南側の大気下層に、太平洋高気圧の縁をまわる暖湿流が流入し、玄界灘で方向を変え背振山地東側で収束。
②上空5500m付近には平年より3℃低い寒気が入り、九州北部では大気が非常に不安になり積乱雲が発生しやすい状況。
③不安定な大気の状態が続く中、降雨で冷却された空気により積乱雲が次々に発生した。
とあります。
東海地方でも、7月14日に太平洋高気圧の縁を回る南からの暖湿流の流入により、大気の状態が非常に不安定になり、岐阜県美濃加茂市付近、愛知県犬山市、小牧市付近で1時間に100㎜近い局地的豪雨になり、河川の氾濫や内水氾濫による浸水被害が発生しました。特に、愛知県では記録的短時間大雨情報が出され、災害に対し十分な警戒が呼びかけられました。
記録的短時間大雨情報が40回
下表のように7月は全国各地でゲリラ豪雨が発生し、記録的短時間大雨情報が数多く出されました。7月20日までに10日間延べ40回出され、過去5年間の最高(2013年7月の23回)を更新し、いつどこでゲリラ豪雨が発生しても不思議でない状況でした。
梅雨が明け、いよいよ夏本番です。先日、岐阜市の街中にある植樹帯でひまわりを見つけましたが、強い日差しに負けたのか少し疲れ気味のように見えました。
今年は、梅雨明け前からすでに猛暑日や熱帯夜になり、早くも少しへばり気味です。7月20日発表の1か月予報では気温は高いと予想されており、夏が始まったばかりですが先が思いやられます。
一口コラム
記録的短時間大雨情報とは
数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測または解析(気象レーダーと地上の雨量計を組み合わせて分析〔解析雨量:本コラム041参照〕)した時に発表されます。
基準は、過去の1時間雨量1位または2位の記録を参考に算出し、その雨によりその地域で土砂災害や浸水害が発生するようなまれにしか観測しない雨量です。
岐阜県では1時間雨量100㎜を超すと発表されます。