2017 年10 月30 日

超大型台風21号が上陸

10月の天候は日照不足

平年の10月の天候は、大陸育ちの移動性高気圧におおわれる日が多く、乾燥した晴れが続きます。しかし、秋雨前線が日本付近に停滞すると、気温は低めでぐずついた天候になります。

10月5日の日本付近は、移動性高気圧におおわれるとともに北から寒気が流入し、県内では最低気温が10月下旬から11月上旬の気温になり、岐阜で11.4℃(最高気温23.0℃)、高山では4.5℃、六厩むまや(高山市荘川町)では0.2℃を記録しました。

一方、10月10日、11日の岐阜は2日連続の真夏日(最高気温30℃以上)になり、11日には10月として5番目にあたる30.7℃を記録するなど、この日は全国の65の気象観測地点で真夏日を記録しました。

天気図(10月5日6時)
気象庁Web サイトより

天気図(10月10日15時)
気象庁Web サイトより

上の二つの天気図とも、日本付近は移動性高気圧におおわれています。5日は冷たい大陸からの空気におおわれ、日本の南では秋雨前線が消滅しています。11日は秋雨前線が日本海中部にあり、日本付近は暖気におおわれています。

秋雨前線を境に、南は夏の暖かい空気、北は晩秋の冷たい空気がせめぎあいます。10月は晴れると日差しはまだ強く、日中の気温が上昇します。しかし、シベリア大陸はすでに冷えはじめ、中国東北部(満州)の10月上旬の最低気温は0℃前後まで下がり、西高東低になると日本には冷たい空気が流れ込みます。このため、この時期は夏の気温になったり、晩秋の気温になったり、寒暖差が大きくなります。

10月10日以降、秋雨前線が南下し、日本はぐずついた天気になりました。下の図のように、10月1日~20日までの日照時間は、北海道の一部を除き全国的に平年を下回り、特に近畿地方より西では60%以下の箇所が多く見られます。岐阜でも、この期間の日照時間は平年比62%と少なくぐずついた天気が続き、降水量は平年の約2倍にもなりました。

 

超大型台風21号上陸 ―過去3番目の遅さ―

10月15日フィリピンの東で発生した台風21号は、北緯20度を越えたころに最盛期を迎え、中心気圧925hPa、最大風速50m/s、強風域は広いところで950kmの超大型で非常に強い台風になりました。

その後、時速30kmを超すスピードで北上し、勢力を維持したまま23日3時過ぎに静岡県に上陸しました。上陸時の勢力は、中心気圧950hPa、最大風速40m/s、15m/s以上の強風域は西側1300km、東側750kmと超大型で強い勢力を維持していました。

なお、10月23日上陸は、過去3番目に遅い上陸になります。もっとも遅かったのは、1990年11月30日の台風28号でした。

天気図(10月22日15時)
気象庁Web サイトより

台風の進路予報図(10月22日21時)
気象庁Web サイトより

ここまでの勢力になったのは、海面水温が高かったことです。また、強風域が広くなったのは、10月22日15時の天気図に見られるように、大陸には秋としては強い1030hPaの高気圧があり、台風との気圧差は85hPaにも及び、朝鮮半島から東北地方にかけて等圧線が混んでいます。このため、西側の方がより強風の範囲が広くなったと思われます。

10月22日21時には東北地方まで強風域に入り、仙台で20時過ぎに最大瞬間風速13.7m/s、銚子では21時前に17.7m/sの強風を観測しています。

日本付近には秋雨前線があり、まだ台風が日本の南の海上にある20日頃から、太平洋側では台風からの暖湿流により雨が降り始め、総降水量は和歌山県の新宮で893.5mmをはじめ紀伊半島では400㎜以上の大雨になりました。

岐阜県内では、関ヶ原の24時間雨量が観測史上1位にあたる285.0mm、岐阜では10月としての1位の235.5mmを観測したほか、大垣、揖斐川、関市板取、美濃加茂でも10月の1位の記録を更新しました。なお、岐阜での最大瞬間風速は台風が遠ざかった後の23日8時の北北西23.7m/sでした。

やはり、台風と秋雨前線は大雨に要注意です。

美濃地方の平野部で栽培されているハツシモの稲刈りは10月下旬ですが、飛騨地方や美濃山間部では稲刈りも終わり豊穣を祝うお祭りが各地で行われました。

先日、白川村飯島のどぶろく祭りに行ってきましたが、道中の高い山では木々の葉が色づきはじめ、これから一気に紅葉が進みそうです。

白川村どぶろく祭り(飯島)
撮影日10月18日

一口コラム

台風の強さ・大きさの基準の変遷

○平成12年6月以降(現在)

ごく小さな弱い台風でも状況によっては、大きな被害が発生するため改定。本コラム018で書いたとおり、強さは中心付近の最大風速、大きさは15m/s以上の強風域の半径により決定。
強い:33~44m/s未満
非常に強い:44~54m/s未満 
猛烈な:54m/s以上
大型:500~800km 
超大型:800km以上

  

○平成3年4月~平成12年5月

強さは中心付近の最大風速、大きさは15m/s以上の強風域の半径により決定。
弱い:17~25m/s未満
並みの強さ:25~33m/s未満
強い:33~44m/s未満
非常に強い:44~54m/s未満
ごく小さい:200㎞未満
小型:200~300km未満
中型:300~500km未満
大型:500~800km未満
超大型:800km以上

○平成3年3月以前

強さは中心気圧(ミリバール:mb)、大きさは1000mbの等圧線半径で決定。参考として、強さは最大風速、大きさは暴風半径を考慮。( )書きは参考。
弱い:990mb(25m/s未満)
並み:989~960mb(25~34m/s未満)
強い:959~930mb(35~44m/s未満)
非常に強い:929~900mb(45~54m/s未満)
猛烈:899mb以下(55m/s以上)
極小さい:100km以下(数十km以下)
小型:100~200km以下(100km前後)
中型:200~300km以下(200~300km以下)
大型:300~600km以下(300~400km以下)
超大型:600km以上(400km以上)

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