黒潮大蛇行が続く
2018年は快晴でスタート
年末の日本は、冬型の気圧が強まり全国的に気温が低く、27日には群馬県では一日の降雪が80㎝を超えるところもあり、北日本や東日本では大雪、暴風雪になりました。
県内では、白川村で26日~28日の降雪は69㎝、積雪も100㎝を越えました。岐阜でも27日には6㎝の降雪を観測しました。
年が明けた2018年の元旦は、太平洋側では快晴となり、各地で初日の出が見られ、岐阜でも穏やかな天気の中で正月を迎えました。
しかし、10日~13日かけては日本付近に強い寒気が流入し、再び日本海側を中心に大雪に見舞われ、新潟県内で一日の降雪が84㎝を観測したところもでました。県内でも、白川村で10日には40㎝の降雪により、14日には積雪は156㎝になりました。
気温も全国各地で厳しい寒さになり、1月12日は、下の図に示すように沖縄などの離島を除いて、全国の観測地点の約9割にあたる855地点で冬日(最低気温0℃未満)、637地点で真冬日(最高気温0℃未満)になりました。
県内でも、岐阜で12日の最低気温が-3.4℃(平年値0.0℃)、13日には高山で-10.2℃(平年値-4.9℃)、高山市荘川六厩では-18.8℃(-11.6℃)まで下がりました。
黒潮大蛇行
黒潮は東シナ海を北上して、下の図のように九州の南から本州南岸、房総半島沖を東に流れる海流です。幅は約100㎞、深さ約1km、流速は速いところで2m/s以上に達します。
四国・本州南方を流れる黒潮には、大きく分けて2種類の流路パターンがあります。一般的に見られる、四国・本州南岸にほぼ沿って流れる「非大蛇行流路(下図の1、2)」と、本州南方の東経136度~140度で北緯32度以南まで大きく蛇行して流れる「大蛇行流路(下図の3)」です。
なお、「非大蛇行流路」は、四国・本州の南岸近くを直進する「非大蛇行接岸流路(下図の1)」と、遠州灘から関東近海で小さく蛇行する「非大蛇行離岸流路(下図の2)」があります。
黒潮が「大蛇行流路(前図の3)」となって流れている状態のことを、黒潮大蛇行といいます。
昨年8月下旬に発生した黒潮大蛇行は、1月18日現在「海流図」に示すように、黒潮が紀伊半島付近で南下し日本列島から離れ、その後伊豆半島沖で日本列島に接近しており、まだ続いています。なお、今後1ヶ月は大蛇行が続くと予想されています。
大蛇行が発生すると、蛇行した黒潮と本州南岸の間に下層の冷水が湧き上がり、漁業に影響を与えます。また、沿岸部の潮位が上昇し、満潮時には浸水被害を発生させることがあります。
なお、黒潮大蛇行は、多くの場合1年以上持続し、1967年以降5回発生しています。最近では2004年7月〜2005年8月に発生しています。
黒潮大蛇行と大雪の関係
台風の発達が海面水温に影響を受けているように、大気と海には密接な関係があります。本州南岸を通過する南岸低気圧は、しばしば関東地方に大雪をもたらしますが、この低気圧の進路上には水温の高い黒潮が流れており、低気圧の発達に黒潮が影響していると考えられます。
鹿児島大学中村啓彦准教授らが2012年に発表した「黒潮大蛇行の低気圧と降雪への影響を発見」によると、黒潮大蛇行の時は、南岸低気圧により関東地方では大雪になりやすいとのことです。なお、解析の概要は次のとおりです。
①過去38年間の南岸低気圧の通過回数に占める東京での降雪日数は、「大蛇行流路」の時が58回中12回(21%)、「直進流路」の時は25回中0回(0%)と、「大蛇行流路」の時の方が東京での降雪が発生しやすい。
②原因としては、「大蛇行流路」では、南岸から離れた低気圧が多く、低気圧に吹き込む北からの風が東京付近の気温を低下させ、併せて蛇行の内側(沿岸側)に生じる冷水により関東沿岸の大気が暖められにくいと考えられる。
1月22日に、南岸低気圧により関東地方には大雪警報が出され、積雪は東京で23㎝、横浜で18㎝と関東地方では大雪になり、交通機関に大きな影響を与えました。これは、現在発生している黒潮大蛇行が大きく影響していると思われます。
一口コラム
なぜ黒潮というのか?
黒潮はプランクトンが少ないため透明度が高くなり、海面での太陽光の反射が少なく海中で吸収されるため、周囲の海域に比べ青黒く見えます。
黒潮大蛇行の基準は?
○潮岬で黒潮が離岸している(黒潮が潮岬から離れると串本と浦神の潮位差は小さく安定、潮岬に接近すると両者の潮位差は大きくなることから、串本と浦神の潮位差で離岸を判定)。
○東海沖(東経136〜140度)での黒潮流路の最南下点が北緯32度より南に位置している。