偏西風蛇行により厳しい寒さ
ラニーニャ現象により偏西風が蛇行
-日本列島は厳しい寒さと大雪に-
1月下旬以降も、日本付近には強い寒気が断続的に流入し、1月下旬と2月上旬に全国的に大雪になり、厳しい寒さが続いています。
これは、昨年秋以降続いているラニーニャ現象によるもので、①インドネシア付近の対流活動が活発になり、②その影響で大気上層の高気圧が強まり、③日本付近で偏西風が南に大きく蛇行し、④そのためシベリアにある寒気が日本付近に流れ込みました。
1月中旬以降の寒気の流入状況を見てみると、下の図のようにユーラシア大陸北部で偏西風の蛇行が明瞭になりました。
また、シベリア東部の1500m付近の気温は、平年に比べ10℃以上低い-36℃の非常に強い寒気が蓄積し、さらに23日以降は偏西風の蛇行により日本付近に寒気が流入したため、24日21時の輪島上空1500mの気温は、21時としては統計開始以来最も低い-16.4℃を記録しました。
このため、1月25日の日本列島は全国の観測地点の約5割にあたる459地点で真冬日(最高気温0℃未満)を観測、北海道の羊蹄山の麓の喜茂別で-31.3℃を観測するなど厳しい寒さになり、232地点で今季の最低気温を観測、5地点では観測史上最低を記録しました。
県内では、高山で1月24日~28日まで真冬日、最低気温は28日に-11.6℃を観測、岐阜でも1月23日~31日まで冬日(最低気温0℃未満)、25日の最低気温は-3.7℃になりました。
こうした状況は2月に入っても続き、2月3日~8日にかけて北日本から西日本の日本海側を中心に断続的に雪が降り、6日間の降雪量は石川県加賀市で177㎝、福井市で144㎝、積雪深は平年の約2.5倍にあたる197㎝と147㎝になり、昭和56年豪雪以来の大雪になりました。
このため、多くの車両が数十時間立ち往生する交通障害が発生し、大きな被害が発生しました。
2月20日現在の累積降雪量は、日本海側で平年以上になり、特に富山県の氷見では平年の202%になるなど、北陸や山陰地方の一部では平年の2倍以上を観測したところがあります。
県内では、県北西部で降雪量が多くなり、白川村で112%、郡上市長滝で144%と平年を上回っています。一方、高山や岐阜では平年の半分程度と少なくなっています。
なお、この大雪の原因のラニーニャ現象は、春のうちに終息すると予想されています。
雪の結晶
雪の結晶には様々な形がありますが、その形は気温と水蒸気の量で決まります。雪(氷)の結晶は水分子の構造から六角柱に成長しやすく、その後の気温で板状になるか柱状になるかが決まります。
また、水蒸気の量により形状が決まり、水蒸気が多いと結晶の片や角が成長するため複雑な形になります。
下の雪の結晶の写真は、1月28日16時頃にスマートフォンで撮影したものです。その時の気温は0.2℃(岐阜地方気象台)でした。樹脂状の結晶は、気温が-15℃程度で形成されるといわれており、100m当たりの気温減率を0.65℃と仮定すると、約2500m上空で出来た雪の結晶になります。
まもなく3月。3月に入ると岐阜の日平均気温は10℃を上回ります。6日は二十四節気の「啓蟄」、地中にひそんでいた虫が地上にはい出る意味です。16日は岐阜で雪が降らなくなる「終雪」です。
この厳しい寒さもあとわずか、春がもうそこまで来ています。しかし、スギ花粉が飛びはじめ、花粉症の方には少し憂鬱な季節でもあります。
一口コラム
スマホによる雪の結晶写真の撮り方
①100円ショップで販売しているスマホ用マクロレンズを使用。(なくても撮影可能です)
②黒や青色の濃い色の生地を使用。今回は黒色の傘を使用。
③使用する傘などは、観測前に外で冷やしておく。
④手ぶれに注意。連写が好ましい。