2018 年7 月24 日

記録的な大雨と猛暑の7月

平成30年7月豪雨

6月下旬から日本付近に梅雨前線が停滞し、高気圧の縁を回り込む南からの湿った気流が西日本に入り込み、広い範囲で記録的な大雨になりました。6月28日から7月8日までの総降水量は高知県で1,800mm、岐阜県で1,200mmを超えるところがあり、7月降水量の平年値の2~4倍になる記録的な大雨になりました。

岐阜県、京都府、岡山県鳥取県、広島県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県では大雨特別警報が出されました。24時間降水量は、高知県本山の602㎜をはじめ75地点、48時間降水量は岐阜県郡上市ひるがのの683㎜をはじめ123地点、72時間降水量は高知県馬路村魚 梁瀬やなせの1,203㎜をはじめ119地点で更新するなど、多くの観測地点で降水量が過去の1位の記録を塗り替え、甚大な被害が発生しました。

この大雨は、平成30年7月豪雨と名付けられ、広島県、岡山県を中心に死亡者は200名を超す大災害になりました。7月24日時点でも被害の全貌が明らかになっていません。

7月豪雨降水量分布(6月28日~7月8日)
*気象庁Webサイトより

県内でも7月7日12時50分に初めての大雨特別警報が出されるなど、7月3日21時~7月8日24時までの総降水量は、郡上市ひるがので7月の月降水量の2.2倍にあたる1,058㎜、郡上市長滝でも同程度の1,009㎜と奥美濃を中心に1,000㎜近い降水量を観測しました。

また、下のレーダーナウキャストのように、線状降水帯による大雨により観測史上1位を更新する地点が続出しました。県内のアメダス雨量観測32地点のうち、24時間降水量では関市板取をはじめ2地点、48時間雨量では郡上市ひるがのをはじめ11地点、72時間雨量では郡上市ひるがのをはじめ16地点で記録を更新しました。

関市板取から郡上市にかけての線状降水帯 (レーダーナウキャスト7月6日16時35分)
*気象庁Webサイトより

また、7月8日0時過ぎには、レーダー解析雨量で美濃市、関市、郡上市、下呂市付近で時間雨量100㎜を超す雨量が解析されたため、3時間ほどの間に記録的短時間大雨情報が7回も発表されました。

この短時間の大雨により、関市上之保の津保川が氾濫、下呂市をはじめ各地で土砂崩れが発生するなど大きな被害が出ました。

大雨の特徴と原因

気象庁が7月13日に発表した「平成30年7月豪雨の大雨の特徴とその要因について(速報)」では、次のように解析されています。

・7月上旬の降水量は過去の豪雨災害と比べて極めて多かった。

・多量の東シナ海からの水蒸気と太平洋高気圧を回り込む水蒸気が日本付近で集中した。また梅雨前線による上昇流が例年に比べ強くかつ長時間持続した。更に一部では線状降水帯が要因で大雨となった。

今回の大雨に該当する7月上旬(7/1~10)に全国のアメダス902地点で観測された降水量の総和を、1982年~2018年の各上旬の値と比較したところ、今回が最も多い数値(降水量総和195,520.5㎜、1地点当たり216.8㎜)になったとのことです。2番目に多い平成26年8月上旬(降水量総和163,460.5㎜、1地点当たり181.2㎜)を大きく上回っており、今回の豪雨は過去の豪雨災害と比べても極めて大きなものだったと言えます。

広範囲で記録的な大雨となった要因は、下図に示すように①二つの多量の水蒸気の流れ込みが西日本付近で合流し持続した。②梅雨前線の停滞・強化により持続的な上昇流が形成された。③局地的に線状降水帯が形成された。特に、①と②が広域的な大雨になった要因です。

気象要因のイメージ図
(注)この項目は気象庁資料より抜粋

 

梅雨明け後猛烈な暑さ

西日本では、大雨の翌日の7月9日に梅雨明けの発表がありました。梅雨明け同時に勢力の強い太平洋高気圧、さらには大陸のチベット高気圧にもおおわれたため、西日本から東日本にかけて最高気温は30℃を超え、13日以降は多くのところで35℃を超す猛暑日になっています。23日には、全国の約3割弱の246地点で猛暑日になり、埼玉県熊谷では41.1℃を観測し、日本の最高気温の記録を更新しました。

岐阜県内でも、7月14日~18日にかけて、14日は郡上市八幡、15~17日は揖斐川、18日は多治見で全国1位の最高気温を観測し、猛暑に見舞われています。特に18日は多治見で国内としては5年ぶりに40℃を超す40.7℃を観測、美濃で40.6℃、岐阜でも観測史上4位の39.6℃を観測しました。23日現在、岐阜で11日連続の猛暑日を記録しています。

気象庁の見通しによれば、8月上旬まで猛暑が予想され、さらにそれ以降も気温は平年より高いと予想されています。まだまだ異常高温が続きそうですので、体調管理に十分気をつけてください。

一口コラム

線状降水帯とは

積乱雲が進行方向の上流側で次々に発生し、3~5個程度の積乱雲群を形成することをバックビルディング型形成と呼ばれています。

こうして次々と発生した積乱雲が列をなし、組織化された積乱雲群により数時間にわたりほぼ同じ場所を通過・停滞することでできる延長50~300㎞、幅20~50㎞の線状の強い降水をもたらす雨域を線状降水帯といい、大きな災害を発生させる集中豪雨をもたらします。

*気象研究所資料より

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