天気予報の精度
季節が足踏み
-11月上旬は高温-
11月に入っても日本列島は高気圧におおわれる日が多く、気温の高い状態が続いています。特に上旬(10日まで)の平均気温は北日本、東日本で平年に比べ、2℃から3℃高く、岐阜でも約2℃高くなりました。中旬以降も気温は高めで続いており、季節は足踏みしています。
このため、14日にようやく北海道の稚内をはじめ3地点で、平年に比べ20日以上遅い初雪を観測しました。
なお、11月15日発表の12月中旬までの1ヶ月予報でも気温は、東海地方をはじめ全国的に高めが予想されており、岐阜の初雪は平年の12月14日より遅れそうです。
天気予報の精度と検証
日本では、明治17年6月1日に最初の天気予報が発表されました。現在の各都道府県を細分した地域ごとを対象に、府県天気予報(一般的には天気予報。以下、天気予報)と週間天気予報の二種類の発表を始めたのは平成8年からです。
各地の気象台では、今日、明日、明後日の天気予報と時系列予報を1日3回(5時、11時、17時)発表しています。また、週間天気予報は、7日後までの天気、風、気温等を11時に発表しています。
下の図のように、降水有無の適中率は、全国平均で明日の適中率が83%、3日以降は70%と大きく低下し、予報期間が長くなるほど適中率は低下しています。また、季節別では春と秋は高く、夏は低い傾向が見られます。夏の適中率が低いのは、夕立などの局地的な降水が多いためと思われます。
なお、東海地方の適中率は全国平均より高くなっています。
「天気予報、天気予報と唱えればフグの毒にあたらない」という小話があるように、昔の天気予報は当たらないものの代表といわれていました。
しかし、東京の17時発表の明日の天気予報では、1990年の降水有無の適中率約82%が、2017年には約87%にまで上がり、天気予報の精度は大きく向上しています。
11月5日~6日にかけての岐阜県の天気予報を検証してみました。
岐阜地方気象台5日11時発表の美濃地方の天気予報では、5日、6日とも降水確率は40%以下、時系列予報では雨の予報はありませんでした。しかし、17時発表では予報が見直され、降水確率は24時までは30%、6日6時まで60%、12時まで50%、18時まで30%になり、時系列予報では、6日0時~9時まで雨が降ると予想されていました。
11月5日~6日にかけての岐阜の降水の状況は、時系列予報のとおり6日1時頃から降り始め、9時頃にやみ、総降水量は27㎜と比較的まとまった雨になりました。
このように、天気予報は最新のものを使用することが重要です。また、降水確率30%を境に雨が降る確率が高くなるため、30%を超えた時は傘を用意したほうがよさそうです。
大雪警報等の発表基準の変更
県内の観測地点では、今年はまだ初雪を観測していませんが、11月から大雪警報等の発表基準がかわりました。
最近の大雪では、建物災害などより交通障害への影響が多く見られることから、警報・注意報の発表基準を今までの24時間から12時間の降雪深さに変更されました。警報の基準は、岐阜市で24時間40㎝が12時間20㎝に、高山市(平地)では24時間50㎝が12時間30㎝に変わりました。注意報は、岐阜で10㎝、高山で20㎝になり、今後発表回数が増えるかもしれません。
併せて平成28年1月に県内で水道管凍結被害が多く発生したため、低温注意報の発表基準もかわりました。今までは具体的な気温は示されていませんでしたが、今回から岐阜市で最低気温が-5℃以下、高山市では-12℃以下になると注意報が発表されます。
下の写真は「瀬張り網漁」の写真です。
「瀬張り網漁」とは、白い布やビニールを川底に敷き、水流で川面に張ったロープがたてる音で産卵場に向かう鮎を驚かせ、停滞したところを投網で捕まえる伝統的な漁法です。10月中旬以降の岐阜市の長良川でよく見られる風景です。
今月の写真
一口コラム
降水有無の適中率とは
降水の有無についての予報が適中している場合で、「降水あり」と予報して実況が「降水あり」となった時(A)と、「降水なし」と予報して実況が「降水なし」となった時(D)の合計の、全予報数に対する割合です。
適中率=(A+D)÷N×100