平成を振り返る
岐阜県での災害
5月1日に元号は令和に変わり、30年間の平成の時代は終了しました。
平成時代に岐阜県内で発生した主な気象災害は、岐阜地方気象台の資料によると10件、昭和時代の20年以降の43年間では24件が掲載されています。死者数は、昭和の346名から平成では33名と大きく減少し、1年あたりの件数は、昭和の0.56件から平成は0.33と減少しました。
また、気象現象別の災害件数は、平成では「台風+前線」を原因とする災害が増加しています。なお、この現象では前線に台風からの湿った気流が供給されるため、低気圧や前線単独の場合より一般的に降水量が増えます。
災害が減少した要因としては、河川改修をはじめインフラ整備が進んだこと、併せて各種気象情報が提供されたことが考えられます。
気象予報の進化
天気予報は、次の段階を経て出されます。
①まず、国内では地上のアメダス、上空ではラジオゾンデにより、風、気温、気圧、湿度などを観測。あわせて、気象衛星、地上レーダーにより雲の状況を観測しています。さらに世界各国の気象機関が観測するデータを共有し、現在の大気の状態を把握します。(気象データの収集)。
②次に、収集された気象データをもとに、物理学の方程式により、コンピュータを使い、風、気温、湿度をはじめとする将来の大気の状態を予測します。(数値予報)
③最後に、数値予報により求められた将来の大気の状態から、天気、降水量、気温などの予測を行い、天気予報を作成します。
気象衛星は、昭和53年に初代のひまわりが運用されました。平成元年に4号、それ以降平成27年に8号、29年に9号と相次いで運用され、大幅に観測機能がアップしています。
また、コンピュータも格段に進化し、現在の演算速度は平成の初期に比べ1000万倍になり、より多くのデータをより高速で処理できます。この結果、早期に精度よく各種の予測が可能になりました。
平成に入り、次の気象情報の提供が始まり、減災に大きく寄与しています。
平成 元年 降水短時間予報
平成 6年 レーダーアメダス解析雨量
平成 8年 天気分布、時系列予報
平成16年 降水ナウキャスト
平成20年 土砂災害警戒情報、竜巻注意情報
平成25年 暴風、大雨、洪水他の特別警報
平成26年 高解像度降水ナウキャスト
平成29年 大雨警報他の危険度分布
なお、天気予報の「降水あり」の適中率は、平成4年の72%が平成30年には80%に向上しました。
台風予報では、2日先の中心位置の誤差は、平成元年の370㎞以内が平成30年には112㎞以内まで精度が上がり、さらに今年度から5日先までの進路に加え、強度予報まで出されます。
大雨の季節が到来
5月13日の日本列島は、高気圧におおわれ気温が上昇し、岐阜県内の最高気温は、岐阜で6月中旬並みの27.1℃、美濃では7月上旬並みの28.9℃を観測しました。
この気温上昇に加え、高気圧からの湿った気流が中部地方に流入したため、大気の状態が不安定になり、県内では局地的な大雨が降りました。
記録的短時間大雨情報が中津川、恵那、美濃、郡上、山県で出され、山県市葛原では時間雨量96㎜を記録しました。幸いにも被害は出ませんでしたが、今後は大雨への注意が必要です。
今月の写真
各地で見頃を迎えているバラを、神戸町へ見に行ってきました。
ここには3000株を超すバラがあり、甘い香りと華やかで美しく優雅に咲く姿を求め、多くの人が訪れていました。
一口コラム
2週間気温予報の提供開始(令和初の新たな気象情報)
これから気温が上昇し熱中症への注意が必要になりますが、気象庁では令和初の新たな気象情報として、6月19日より「2週間気温予報」を毎日HPで発表します。
「2週間気温予報」では、最高気温と最低気温の推移がわかり、熱中症や農業などへの対策に活用できます。
また、極端な高温や低温、日本海側での大雪が予想される場合には、早期天候情報(今までの異常天候警戒情報)が発表されます。