年平均気温 2年連続で更新か?
今年の日本の気温は過去最高を更新か?
11月の岐阜の平均気温は、13.4℃(平年比+1.2℃)になり、秋(9~11月)の平均気温は平年を2.0℃上回る20.1℃を記録し、先月号のコラムで記述したとおり、過去最高気温を更新しました。
こうした状況は全国的に見られ、関東から西の太平洋側、中国、四国、九州の一部では、気温が平年に比べ1.5℃以上高くなり、全国の153箇所の気象台等のうち、岐阜をはじめ52箇所で過去最高を更新、18箇所でタイ記録になりました。
12月上旬になると、岐阜ではようやく平年並みの気温になりましたが、中旬にはまた高くなり、12月の平均気温は、20日時点で平年を1.5℃上回っています。このまま推移すると、年平均気温は過去最高の16.9℃を更新する可能性があります。
暖冬傾向は全国的に見られ、12月20日時点の積雪深は平年に比べ、ほとんどのところで40%以下になっており、県内ではすべての観測所で積雪はゼロです。
岐阜で過去最も遅い初霜を観測
霜とは空気中の水蒸気が夜間に冷えた地面や物体に触れて、その表面で氷の結晶となったものです。
岐阜の初霜は、秋の高温が影響して過去最も遅い12月8日に観測しました。岐阜での初霜、初氷、初雪の平年値は、11月20日、12月2日、14日と、おおむね2週間弱の順に観測されています。昨年の初霜、初氷は11月24日に同時に観測されましたが、今年は平年とは逆に初霜の方が遅く観測されました。
夜間に晴れると放射冷却により逆転層(上空の方が気温が高い)ができ、地上付近の気温が低くなります。また、空気中に含まれる水蒸気量は気温により決まっており、温度が低くなると水蒸気が飽和し凝結します。なお、空気が乾燥していると凝結しにくくなります。このため、一般的に天気は晴れ、風が弱く、空気が乾燥しておらず、気温(地上から1.5mで観測)が3℃近くまで下がると霜が降りやすくなります。
下の表は、2018年と2019年の初霜、初氷を観測した日の気象状況です。
2019年の11月21日と12月8日とも、気温が3℃前後のことから地上付近の気温は0℃程度と推定され、また風も弱い状況から、霜が降る条件は整っていました。しかし、11月21日の湿度は78%とやや低く、露点温度は0.0℃、12月8日の湿度は88%で露点温度は1.0℃、この1.0℃の差が初霜の有無につながったと思われます。
なお、気象庁では気温が3℃以下になり、霜により農作物に被害が発生する恐れがある場合に「霜注意報」を出して注意を呼びかけます。この秋初の注意報は11月14日に発表されました。
気象に関する今年の漢字
内閣府防災情報ページの今年の災害一覧には、10件の気象災害が掲載されています。その死者数は約150名、住宅被害は約16万戸と大きな被害が発生しました。要因別では、台風が7件、前線が2件、大雪が1件となっています。
今年最大の気象災害は、10月10日関東地方に上陸した台風により関東甲信や南東北の各地で河川が氾濫し、死者等102名、住宅被害9万1千戸に及んだ「台風19号災害」でした。
今年日本に接近した台風は、過去7位にあたる15個(平年11.4個)、上陸した台風は5位にあたる5個(平年2.7個)と台風の当たり年となりました。
日本気象協会が気象予報士100人、全国の一般の方500人を対象に今年の漢字の調査を行いました。その結果、予報士の1位は「台」、一般の方は「災」でした。やはり台風により大きな災害が発生し、強く印象に残っていることからだと思われます。
今月の写真
12月にハワイに行ってきました。ハワイといえば、綺麗な砂浜が続くワイキキビーチが有名ですが、写真のように海岸には土のう袋が積んでありました。
現地の人の話では、「地球温暖化の影響で海面水位が上昇、砂の流出により砂浜が狭くなっており、流出防止工事をしている」とのことでした。
ハワイ気候委員会が2017年にまとめた報告書では、「温暖化の影響に伴う海面上昇で、ワイキキビーチが今後15~20年間で水没する恐れがある」と予想しています。温暖化の影響が、ここまで現れているとは思いませんでした。
一口コラム
放射冷却と逆転層
地表面からの赤外線放出により温度が下がりますが、雲があると地上からの赤外線は雲に反射され、温度が保たれています。しかし、晴天の場合、雲が少なく地上からの赤外線は宇宙空間に逃げ、温度が下がります。この現象を放射冷却といいます。
一般的には、上方に行くほど気温は低下しますが(青の破線)、放射冷却が発生した場合は、地表に接する大気の温度が低下し、ある層の間では上方に向かって気温が高くなります。この層のことを逆転層といいます。逆転層の厚さ(高さ)は厚くても数百m程度です。