記録的な猛暑が続く
記録的な猛暑
本コラムNo.64では、7月23日までの猛暑について報告しましたが、それ以降8月下旬になってもまだまだ厳しい残暑が続いています。
日本列島は、7月11日以降、連日35℃以上の猛暑日になり、特に8月5日には全国の気温観測箇所927地点の28%にあたる256地点で猛暑日になりました。また、全国の20%以上の地点で猛暑日になったのは14日間にも及び、記録的な高温を記録しています。
さらに、8月20日までに猛暑日になった地点は、延べ5342地点になり、8月末時点での過去最多の2010年の5014地点を大きく上回っています。
熊谷では、7月23日に最高気温を更新する41.1℃を観測、その日は美濃でも過去最高に並ぶ41℃を観測しました。今年40℃以上を観測した回数(8月20日時点)は、多治見で4回、美濃で3回、金山で2回、名古屋、熊谷、青梅、甲府で各1回の併せて13回になり、東海地方での高温が際立っていました。
40℃を超えた県内の多治見、美濃、金山の3地点と岐阜の7月中旬~8月中旬までの各旬(10日間)の平均最高気温について平年値と比較してみました。各地点とも8月上旬までは平年を大きく上回り、特に7月中旬は全地点で6℃以上、金山では7.3℃も高く、記録的な高温になりました。
7月中旬~8月中旬(41日間)の岐阜は、最高気温が35℃以上(猛暑日)の日数は30日間、最低気温が25℃以上(熱帯夜)は37日間と、暑くて寝苦しい日が続きました。
猛暑の原因
この猛暑の原因は、8月10日気象庁発表資料「7月中旬以降の記録的な高温の特徴と原因」では、次のように説明されています。
○フィリピン付近の対流活動が活発になり、上昇した空気が日本付近で下降し、太平洋高気圧を強め日本付近へ張り出した。
○亜熱帯ジェット気流*が日本付近で北に大きく蛇行したため、上層のチベット高気圧が日本付近に張り出した。
○このため、日本列島は暖かい空気を伴った高気圧におおわれ、強い下降気流や安定した晴天が続き強い日射により気温が上昇した。
○さらに、地球温暖化に伴う全球的な気温の上昇が続いていること、北半球の中緯度域で全体的に対流圏の気温が著しく高く、特に今年の7月は1958年以降最も高かった。
世界気象機関(WMO)によれば、今年の7月は、世界各地で猛暑をはじめとする極端な気象現象が発生しています。こうした北半球の中緯度での高温は、今年の春から続いており、今後の動向が注目されます。
岐阜では、月中旬の気温が平年を少し下回りましたが、気象庁8月23日発表の1ヶ月予報では、東海地方の気温は平年より高く、特に第1週はその確率が非常に高いと予想されており、まだまだ厳しい残暑が続きそうです。
台風が頻発
8月に入り、3日、8日、12日から連続5日、18日と半月の間に8個の台風が次々発生し、今年の発生数は23日時点で20個(8月末までの発生数の平年値13.7個)とハイペースで推移しています。
日本への接近数は、平年の6.3個に対しすでに11個、上陸数も平年の1.7個に対し3個で発生数同様に平年を大きく上回っています。なお、過去最も多い発生数は1969年の39個です。どこまで近づくでしょうか。
一般的に台風は、太平洋高気圧の周囲をまわるように右回りに進みますが、7月25日に発生した台風12号はこれとは大きく異なる経路を通りました。
日本の南の北緯20度付近で発生し、その後北東に進みましたが、北緯30℃を越えると進路を西寄りに変え、7月29日には三重県に上陸、中国地方、九州北部へと西に進み、その後九州の西岸を南下、九州の南で一回転し東シナ海を西に進むという、過去に例のないルートで進みました。
また、8月下旬には、台風19号と20号が同時期に日本に接近し、台風20号は23日に四国に上陸するという珍しい事例も発生しました。
猛暑日の連続や台風の頻発など、今年の夏は今までとは異なる気象現象が発生しています。
県内の早場米産地の海津市、羽島市では8月初旬に稲刈りが始まりましたが、恵那市山岡町では、NHK連続テレビ小説「半分、青い」にちなんだ田んぼアートが行われており、先日行ってきました。
今月の写真
一口コラム
亜熱帯ジェット気流とは
ジェット気流とは、上空10~12㎞を流れる長さ数千㎞、幅数百㎞、厚さ数kmの強い西風で、早いところでは秒速100m以上のところもあります。
赤道付近の熱帯収束帯で上昇した空気は、極側に向かって流れだし(ハドレー循環)、緯度30 度付近で西よりの風になります。北半球では、北緯30 度付近上空にはこの風が集まって、強い西風(亜熱帯ジェット気流)が作られます。
また、中緯度帯では、極側の冷たい気団と赤道側の暖かい気団との境の上空にも強い西風(寒帯前線ジェット気流)が作られます。