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建設業界とモラル  東京大学名誉教授 村井 俊治 先生

東京大学名誉教授 村井 俊治 先生

  私は土木工学出身です。土木工学科を選んだ理由は二つあります。1960年代の学生時代の土木工事は、国民の喝采を浴びていました。黒部第四ダム、東海道新幹線、東名高速道路などです。学生時代に新横浜の新幹線工事現場を見学して感激しました。もう一つの理由は、土木に行けば運動部に所属しても卒業できると言われていたからです。私は東大ボート部にいて、合宿所に寝泊りしていたのです。
 1970年以降の列島改造論で環境破壊、土地高騰と同時にゴルフ場の乱開発、第3セクターの大型娯楽施設など建設業界は、国民からブーイングを受けました。先日も、談合決別宣言をしたばかりの建設会社が不正取引をしました。ある建設会社が仕事を得るために誤魔化しの政治献金をして摘発されています。国民の目から見ると土木業界は汚れて見えます。社会基盤整備は、国民のために必要なのですが、胸を張って主張できないのは、我々土木界にも一端の責任があるでしょう。現在の東大の土木工学卒業生は、建設業に就職する者は少数派で、多くは生命保険会社や証券業界に就職します。
 インドの偉人であるマハトマ・ガンジーの残した言葉に七つの社会的罪があります。
1) 理念なき政治、 2) 労働なき冨、 3) 良心なき快楽、 4) 人格なき学識、 5) 道徳なき商業、 6) 人間性なき科学、 7) 献身なき信仰 です。
 建設業界は、ガンジーの言う「道徳なき商業」だったと思います。バブルの時の日本は、ガンジーが諌めた七つの社会的罪を犯していました。
 およそ人類の歴史を振り返ると国家や文明の崩壊はモラルの崩壊を伴っています。ローマ帝国はその良い例でしょう。明治維新で徳川幕府が倒れたのもモラル(武士道)の崩壊があったせいです。建設業界が低迷しているのもモラルが崩壊したからです。正々堂々とした王道を行かなければ長続き(サステイナブル)しないのです。 さて帝国建設コンサルタントを振り返りましょう。私は、現社長のお父さんである創業者を知っております。まじめで愚直と言って良いでしょう。およそ不正のできない不器用なタイプだったと思います。私は現社長を東京大学生産研究室の村井研究室に預かりました。現社長もお父さんの血を受け継いでおります。悪いことの出来ない性格です。要領よく、賢く立ち回るのではなく、コツコツ積み上げるタイプです。社員もその性格を持ち合わせています。
 私は、帝国建設コンサルタントが好きです。そのスタイルが好きなのです。ガンジーの教えを守って欲しいです。未来永劫に続く会社であって欲しいからです。「愚直な測量」は6月20日に公開される映画「剱岳~点の記」で味わえます。この映画の精神を帝国建設コンサルタントが体現することを願っています。
黒部第四ダム東京都庁
新幹線金沢駅舎
3) 新幹線金沢駅舎
高速道路
4) 八王子ジャンクション
新幹線
5) 新幹線「のぞみ」

写真説明
1) 黒部第四ダム 難工事の末に完成し、国民の喝采を浴びた。「黒部の太陽」の小説が書かれ、映画化された。
2) 東京都庁 バブルの頃に完成。贅沢すぎ・高額すぎるとの批判もあった。
3) 新幹線金沢駅舎 まだ開通していないが、超豪華な駅舎が完成。
4) 八王子ジャンクション 中央道と圏央道を結ぶジャンクション。高尾山の「明治の森」の環境破壊が危惧された。
5) 新幹線「のぞみ」 新幹線は、未だに国民の支持を受けている。