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インフルエンザと湿度

  今年度は、エルニーニョ現象の影響で、非常に暖かい冬となりました。例年は11月頃から噂を耳にするインフルエンザも、今年の流行は年明け以降となり、ピーク予想は2月となっています。


インフルエンザウィルスの電子顕微鏡像
国立感染症研究所  より
http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/219-about-flu.html

  このインフルエンザに大きく関わるのが、空気の「絶対湿度」です。

  この絶対湿度についての説明の前に、まずインフルエンザの原因となるウィルスについて知る必要があります。
  様々な病気の原因となりうるウィルスですが、類似の特徴を持つ細菌との違いがイマイチ分からない方も多いと思います。

  まず、大きな違いとして、細菌の方が圧倒的に巨大であることが挙げられます。比較した場合、ヒトを地球とすると、細菌は高層ビル、ウィルスはその中の人間程度になります。
このサイズの小ささから、細菌よりもはるかに空気中を漂いやすいのです。

  また、細菌は細胞を持ち、自分で増殖する事が可能ですが、一方のウィルスは、タンパク質の殻に遺伝子を持っているだけの単純な構造をしています。ウィルスは生きた生物の細胞に寄生し、自分のコピーを大量に作らせることで増殖します。
  この特徴から、細菌の細胞壁を破壊することで作用する抗生物質も、ウィルスに対しては効力を発揮しません。

  下の表に以上の違いをまとめます。

 

ウィルス

細  菌

増殖するとき 人や動物などの細胞の中で増える 細胞がなくても増える
遺伝子 DNAかRNAのどちらか DNAとRNAの両方を持つ
細胞壁 ない ある
抗生物質 効かない 効く
=ウィルスは「生物ではない =細菌は「生物

  ウィルスと細菌は、おおまかに分類すると、上記のような特徴を持ちます。
特に、インフルエンザウィルスについては高温・多湿を嫌うことが分かっています。

  ここで重要なのは「絶対湿度」です。

  通常耳にする「湿度」は「相対湿度」のことで、その気温において空気中に含むことができる最大の水分量を100として、実際はどのくらいの水分を含んでいるかを比率(%)で示した値のことです。
  気温が高いほど、空気は多くの水蒸気を含むことができ、気温が低いほど、空気は少しの水蒸気しか含むことができません。つまり、気温によって含まれる水蒸気の量は同じでも、湿度に差が出てしまうのです。
「絶対湿度」は気温とは無関係に、1m3中に含まれる水の量を表します。

  気温とインフルエンザの関係を調査した結果、インフルエンザウィルスの生存(ウィルスが空中に浮遊してから生存し続ける時間)は、先述の「絶対湿度」との関係が非常に強いことが分かっています。意外なことに、気温との相関はあまりありません。

  この絶対湿度を11g/m3に保つと、インフルエンザが流行しにくいと言われます。この絶対湿度11g/m3は気温26℃の際の湿度50%、気温20℃のときの湿度65%に相当します。これ以下の気温だと、たとえ湿度70%でも絶対湿度は11%以下になります。

  普段、事務所は温度を上げることはしますが、湿度は気にされる方以外は、どうしても後回しになりがちです。そこで、加湿器等を活用して湿度を上げると、インフルエンザの対策としては非常に有効です。
  ただ、加湿器は重要ですが、カビが生えてしまうとカビ菌をまき散らしてしまうので注意が必要です。

「インフルエンザの予防したいけど加湿器なんて置けない!」という方は、マスクをするだけでも有効です。マスクが吐息で湿ることで簡易な加湿が可能です。

忙しい時期に体調を崩されないよう、気をつけていきましょう。

  環境ソリューション本部 地質部
渡辺 あゆみ