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8月は全国的に記録的な天候


  8月からの不安定なぐずついた天気も9月中旬になってようやくおさまり、朝晩の気温も下がるとともに空気も乾燥し、さわやかな天気になりました。

8月は全国的に記録的な天候   ~日照時間、降水量、気温~

[日照時間]
  8月は太平洋高気圧の日本付近への張り出しが弱く、高気圧の周辺を回る湿った気流の影響を受けやすかったため、全国的に日照時間が少なくなりました。
  岐阜県内も同様に、岐阜市で平年比48%と、1890年の統計開始以来最も少なく、また、高山市でも過去2番目の平年比53%になりました。

[降水量]
  8月前半は、台風12号の接近や台風11号の上陸に伴う大雨が降りました。また、後半は前線(秋雨前線にしては早い?)が日本付近に停滞し、非常に湿った気流が継続的に流れ込み、広島をはじめ全国各地で人的被害を含む大きな被害が出ました。なお、この8月の豪雨は「平成26年8月豪雨」と名付けられました。

  県内でも台風による大雨(お天気コラム8月号参照)、さらには8月15~18日にかけての高山市を中心に前線により大雨が降り、大きな被害が発生しました。
特に高山市では、4日間で8月の平年降水量の2.3倍にあたる385.5mmを観測しました。

[気 温]
  このため西日本では5年ぶりの低温になり、県内でも日平均気温は平年に比べて岐阜市で1.0℃、高山市で0.9℃低くなりました。



積乱雲の下から降水 (H26.8.18 美濃加茂で撮影)
*モクモクした雲は『乳房雲』。下降気流により発生し、雹や雷に注意が必要

  岐阜市内では8月17日の午後に雷を伴った激しい雨が降り、岐阜市芥見(県設置雨量計)では4時間で203mmの激しい雨を観測しました。
一方、約10km 離れた岐阜地方気象台では、4時間で67.5mmとあまり多くなく、局所的な豪雨となりました。




8月の台風の発生数は、たった1個   ~過去最少~

  台風の発生数は、7月末までに12個(平均7.7個)と多く発生しましたが、8月はわずか1個(平均5.9個)で、1951年の観測以来最も少なくなりました。9月に入り2個発生したものの、15日現在の発生数は15個です。年間の平年値は25.6個ですので、発生数はやや少なめに推移しています。

 台風発生の仕組みは、2014年8月号のお天気コラムで説明しましたが、熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速が17.2m/s以上になったものが、台風と分類されます。
それでは、どのようにして台風の中心風速を決めるのでしょうか?

 第二次世界大戦中から1987年8月までは、米軍の飛行機がグアム島から飛び立ち、台風の中心に入り、気圧計を落として中心気圧を観測し、中心付近の最大風速を推測していました。
しかし、飛行の危険性や気象衛星観測技術の向上から、気象衛星画像から中心気圧等を推察する方法(ドボラック法)に変わりました。  

  ドボラック法とは、過去に気象衛星で観測した台風の雲パターンと、実際の中心気圧、最大風速の関係から台風を分類し、これにもとづいて気象衛星の雲画像から中心気圧や中心付近の最大風速を決定します。ドボラック法は、実測ではなく推定のため、実際の中心気圧とずれる場合もあると言われています。

  気象衛星の雲画像の事例 (9月7日9時 台風14号発生)



9月6日21時
熱帯低気圧

中心気圧
1002hPa

最大風速
15m/s
 



9月7日10時
台風14号

中心気圧
998hPa

最大風速
18m/s

  上の気象衛星画像は、台風14号がまだ熱帯低気圧の時のもの(上図)と、台風になった時のもの(下図)です。両方を見比べても一見はっきりとした違いは分かりません。
  しかし、よく見ると下図の方が、雲は鮮明で渦巻きがはっきりしています。気象庁では、こうした気象衛星画像(実際はもっと精細なもの)から、ドボラック法により中心気圧や中心付近の最大風速を決定しています。

   今年は、東海地方に甚大な被害を出した伊勢湾台風(猛烈で超大型)から55年になります。9月は、日本への台風の上陸数が最も多い月です。台風は事前に進路が分かり、影響の予測も可能ですので、台風接近に際しては台風情報に十分注意し早めの対応に心がけたいものです。

 


【一口コラム】
台風の強さ、大きさの基準

  気象庁では、強さは中心付近の最大風速で、大きさは15m/s以上の強風域の半径により決定しています。

強い :33~44m/s未満    非常に強い:44~54m/s未満
猛烈な:54m/s以上

大型:500~800km      超大型:800km以上

   なお、最大風速とは10分間の平均風速の最大値です。瞬間的には最大風速の1.5倍以上の風速になるといわれています。