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線状降水帯

  平成27年9月11日朝、テレビをつけると衝撃的な映像が流れていました。それは、台風第18号や台風第17号によってもたらされた大雨により、鬼怒川の堤防が決壊し、街が濁流に飲み込まれる様子でした。

  振り返ってみますと、近年甚大な被害をもたらした大雨は、上記に挙げた「平成27年9月関東・東北豪雨」の他、「平成24年7月九州北部豪雨」、「平成26年8月豪雨」などがあります。
  これらに共通するワードは、「線状降水帯」です。

  「線状降水帯」について説明する前に、まず、豪雨をもたらす積乱雲の一生について以下に示します。
  不安定な湿った大気が山岳部にぶつかったり、温度差のある大気の境で上昇気流が発生したりすると、積乱雲が発達します。その後、降水セル(下図着色部分)が生成されると、成熟期に入り、降水した後、衰退していきます。



  「線状降水帯」は、このような降水セルを持った積乱雲が線状に連なったもので、積乱雲がとめどなく発生し続けることにより、ある地点で長時間にわたって大雨を降らせます。


レーダー画像(H27.9.9) 気象庁Webサイトより

  「平成27年9月関東・東北豪雨」の発生原因は、台風第18号及び台風から変わった低気圧に向かって、台風第17号から湿った空気が流れ込んだことです。

  台風第17号の影響により、多くの水蒸気を含んだ積乱雲が長時間にわたって発生し、線状降水帯となり、西日本から北日本にかけての広い範囲で大雨となりました。  


  このように、「平成24年7月九州北部豪雨」や「平成26年8月豪雨」でも様々な要因が重なり、線状降水帯による長時間の局所的大雨が発生しました。

  「平成27年9月関東・東北豪雨」において、大雨の直接的な原因となった「線状降水帯」の他に、被害が拡大した原因について、気になる内容が2つありました。

・ソーラーパネル設置のため、堤防の役割を担う丘(自然堤防)を掘削していた。
・決壊した堤防は崩れる危険性が高いAランクとして10年前から国が警戒していた。

  この情報の信憑性は分かりませんが、対策まできちんとしていれば、被害を最小限に出来たのではないでしょうか。
  どんなに豪雨の予測技術が進歩したり、破堤シミュレーションを行い、危険な位置と分かったりしても、それらを活用しないと意味がないと思いました。

  局地的豪雨も含めて、いつ災害が発生するか分からない状況の中で、今一番大切なことは、災害の危険性や避難の仕方を住民へ周知させる事だと私は思います。

  東北大地震のときの津波も、津波に関する認識不足から避難が遅れました。
越水から破堤に繋がることを知らないならば、越水を軽く認識して避難が遅れてしまいます。
  このような事態が発生しないよう、災害の危険性や避難の仕方を住民へ周知させるためには、行政と住民双方の働きかけが大切だと思います。

  災害が発生した後では手遅れとなるので、事前に備えておくことがとても重要です。
  皆さんも、自治体が公表しているハザードマップ等で、自分の住んでいる場所について、再度確認してみてはいかがでしょうか。

  コンサルタント本部 技術第二部
加藤  沙椰