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今年の梅雨は少雨傾向


今年の梅雨は少雨傾向   ~平年の約6割~

  岐阜県内では6月4日の梅雨入り以降少雨がつづき、岐阜市の梅雨入り後の6月の降水量は87.5㎜と平年の約4割、逆に日照時間は152.3時間と、平年の約3割増でした。
  7月に入ると曇雨天の日が多くなり、9日~10日にかけては日本の南岸を進んだ台風8号により、本巣市根尾や揖斐川町久瀬では、台風に伴う南からの湿った気流により300㎜を超す大雨が降ったものの、岐阜市では29㎜でした。
  岐阜市の梅雨入りから7月15日までの降水量は、209mmと平年の約6 割程度で依然少雨が続いています。

梅雨前線は、下図のように東南アジアモンスーンや太平洋高気圧からの高温多湿な気流と、チベット高原の北にある乾燥した大陸の高気圧の境目にできる前線です。



梅雨前線のできかた
JAMSTEC Webより

  今年の6月は、太平洋高気圧の勢力が弱く、梅雨前線がなかなか北上せずに、例年より少雨で比較的好天に恵まれました。

  一般的に、梅雨前線の北側約300㎞付近までは雨、その北約200㎞付近までは曇りといわれます。一方、前線の南側は非常に湿った気流が流れ込むと大雨になります。
  100㎞の距離は、緯度に換算すると約1度にあたり、北緯35度より北にある岐阜県では、梅雨前線が北緯30度を越すと天気が悪くなります。

  下の天気図では、梅雨前線は北緯30度より南に位置し、気象衛星画像では前線に伴う雲域(赤線で囲ったところ)が本州の南の海上にあり、このエリアで雨が降っています。

    一方、中部~関東地方にかけて白い雲(白線で囲ったところ)が見られますが、この日は上空約5,700mの寒気(-12℃以下)と、日本の南にある低気圧からの湿った気流により大気が不安定になり、岐阜県七宗町、川辺町付近や埼玉県朝霞市付近では、解析雨量で1時間100㎜以上の降雨を観測しました。 

6月25日の天気図と気象衛星画像


 

湿度と雲底高度の関係

 下の写真は岐阜駅近くの高層ビルを撮影したもので、ビルの上部には雲がかかっています。雲の中は水蒸気で飽和され、湿度は100%(気温と露点温度が同じ)です。
  地上から雲までのおおよその高さ(雲底高度という)は、気温と露点温度から次の式で求めることができます。

   雲底高度(m)=125×(気温-露点温度)

  撮影時刻(7月7日12時頃)の岐阜地方気象台(場所:岐阜市加納)の気温(22.6℃)と露点温度(21.6℃)から計算すると、雲底高度は125mになりました。

  一方、写真からは、岐阜シティ・タワー43の高さは163m、岐阜スカイウィング37は136mなので、雲底高度は140~150m程度と推定されます。岐阜地方気象台とは約1.5km離れ、気温などは若干違いますが、計算式から求めた数値と近い値になりました。


高層ビルにかかる雲
(撮影:7月7日12時頃)
右:岐阜シティ・タワー43
左:岐阜スカイウィング37

  7月11日に、今年初めて岐阜市の市街地でクマゼミの鳴き声を聴くなど、梅雨明けもそこまで来ているようです。
  沖縄地方は6月26日に梅雨明けしましたが、例年、東海地方では沖縄地方の梅雨明け後1ヶ月弱で梅雨明けします。今年の梅雨明けは、平年値の7月21日より少し遅れるかもしれません。

  いずれにしても、間もなくうっとうしい梅雨空から解放され、真夏の青空が訪れます。



【一口コラム】
露点温度って?

  温度を下げていくと、やがて空気は飽和(これ以上水蒸気が含むことができない状態)に達し、空気中の水蒸気が凝結して露を結びます。この時の温度が露点温度で、湿度は100%です。
例えば、グラスに冷たいビールを注ぐと表面に水滴が付きますが、これはグラスの表面温度が露点温度より低くなって、水蒸気が凝結したためです。

  空気中に含むことのできる水蒸気量は、温度により変わりますが、温度が高いほうが多量の水蒸気を含むことができます。例えば、30℃の空気は20℃より約1.8倍多くなります。