2017年も穏やかな晴天でスタート
今年の正月は昨年同様、全国的に3月並みの気温になり穏やかな晴天の中で新たな年が始まり、多くのところで初日の出が見られたようです。岐阜でも1月3日の気温が平年より5℃高い14℃と3月中旬並みの暖かさになり、気温は10日まで平年を上回りました。
全国的に気温の高い状況が続いたため、1月上旬までの降雪量は北海道を除き平年の半分程度の少なさでした。
1月14日県内に大雪警報発令
本コラム021の「日本海側の降雪の仕組み」の中で報告したように、日本海上空の気温と海面水温との差が大きくなると大気の状態が不安定になり、雪雲が発達し日本海側で雪が降ります。
1月上旬の日本海の海面水温が平年より1℃~4℃も高い中、1月11日以降は冬型の気圧配置になり寒気が流入しました。
特に14日には上空約5kmに東日本で-36℃以下、北日本は東北を中心に-42℃以下、輪島上空でも-40℃の強い寒気が流入しました。
このため、大気の状態が非常に不安定になり、雪雲が発達し雲の高度も高くなり、飛騨地方や美濃地方の山間部や平野部にも雪雲が入り、大雪を降らせました。気象衛星画像(高頻度)でも、日本海の北部で雪雲が発生し、強い寒気によるすじ状の雲が、日本海から日本列島を越して日本の南の太平洋まで流れ込んでいるのが見えます。
気象衛星画像(高頻度) 1月15日8時30分
地上天気図 1月15日6時
8月9日12時 上空約1500m付近の風
日本列島
飛騨地方と岐阜・西濃地方の一部には、14日17時30分に大雪警報が出され、16日にかけて大雪になり、降り始めから17日までの降雪量は白川村で172㎝、高山市で91㎝、関ケ原町で47㎝、岐阜市でも17㎝になりました。
また、県内には低温、雷、着雪の各注意報も出され、14日~16日にかけ高山で真冬日(最高気温が0℃未満)になるなど、県内では寒い日が続きました。
14日からの大雪により1月22日現在の積雪深さは、関ケ原の平年比4.4倍を最高に各地で平年値を越えています。しかし、1月上旬までの降雪が少なかったため、累積降雪量は、まだ平年値の約6~7割と少雪の状態が続いています。
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1/11~17 降雪量(cm) |
累積降雪量(cm) |
積雪深さ(cm) |
H29 |
平年値 |
平年比 |
H29 |
平年値 |
平年比 |
白川村 |
172 |
297 |
476 |
62 |
152 |
98 |
155 |
高山市 |
91 |
127 |
206 |
62 |
41 |
20 |
205 |
関ケ原町 |
47 |
62 |
79 |
78 |
22 |
5 |
440 |
岐阜市 |
17 |
17 |
24 |
71 |
- |
1 |
0 |
1月22日現在
雪の岐阜城(1月15日9時撮影)
過去の酉年の気象災害
今年の干支は酉です。過去5回の酉年の代表的な気象災害を調べてみたところ、豪雪が2回、低温等による冷害が2回、大雨が1回発生し、大きな被害が出ています。近年、大雨をはじめとする極端な気象現象により、大きな災害が発生していますが、今年は平穏で大きな災害のないことを願うところです。
1957年(昭和32年) |
諫早豪雨
長崎県諫早市で日雨量1109㎜を記録。死者700名を
越す大きな被害が発生。 |
1969年(昭和44年) |
北日本・東日本を中心に低温
農作物被害額620億円 |
1981年(昭和56年) |
昭和56豪雪
東北から近畿地方にかけての記録的な豪雪。
全国で153名が死亡。県内でも高山で128㎝の積雪を記録。 |
1993年(平成5年) |
北日本~西日本で低温・多雨・日照不足
農作物被害額10,350億円。海外から多くのコメを輸入。 |
2005年(平成17年) |
平成18年豪雪
北海道から中国地方にかけての記録的な豪雪。全国で152名が死亡。県内でも白川村で297㎝の積雪を記録 |
気温が1年で最も低い時期は、1月下旬から2月上旬にかけての、二十四節気の大寒から節分までの時期にあたります。
気象台発表の1月21日からの1か月予報では、「向こう1か月の平均気温はやや低く、1週目は平年並または低い、2週目は平年並または高い、3~4週目は平年並または低い」となっており、寒暖を繰り返しながら春はやってくるようです。
気象台では、春の訪れの指標になる梅の開花を毎年発表しており、岐阜の平年の開花は2月14日です。今年はいつになるのか、早い開花が待たれるところです。
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