気象衛星世代交代 ひまわり8号へ
気象衛星は、気象観測を行うことが難しい海や山岳地帯を含む広い地域の雲、水蒸気、海の状態を観測できるため、地球全体の監視に有効です。特に、観測点の少ない海の上にある台風の監視に有効です。
そのため、世界各国が協力して気象衛星を打ち上げ、継続的に運営しています。現在、日本、韓国、中国、インド、アメリカ、欧州、ロシアなどが16機の気象衛星を打ち上げ観測していますが、日本の「ひまわり」のような静止衛星は11機あります。
静止衛星とは、赤道上空約35,800kmの軌道上を地球が自転する方向に地球の自転の周期(約24時間)で回っているため、地上から見るとまるで静止しているように見えます。なお、「ひまわり」は、東経140度付近上空から観測しています。
「ひまわり」には、可視光線と赤外線を検知するカメラを搭載しており、観測されたデータは、テレビの天気予報で目にする雲画像の写真のみならず、コンピュータでデータ処理を行い雲の高さ、海面温度、上空の風などの算出に用いられます。
これらの情報は、台風・低気圧・前線などの動きの把握、大雨・大雪の監視、さらには海面水温の変動をはじめとする、地球環境の監視・予測などに広く利用されています。
初代の1号が昭和52年に運用されて以来、ずっと日本の気象予報に大きな役割を果たしてきましたが、この7月7日11時から8号が運用されることになりました。
それでは、8号は7号と比べ、具体的にどのように変わったのでしょうか?
①分解能が2倍になり、画像が鮮明になりました。
②観測所要時間が30分から10分に短縮され、豪雨や積乱雲の急発達の様子を
いち早く捉えることができます。
③観測種別が約3倍になり、雲の様子をこれまで以上に詳しく見ることができます。
ひまわり7号、8号の比較
|
ひまわり7号 |
ひまわり8号 |
水平分解能
|
可視光 1㎞
赤外線 4㎞ |
可視光 0.5㎞
赤外線 2㎞ |
観測所要時間 |
30分 |
10分 |
観測種別 |
可視光 1バンド
赤外線 4バンド |
可視光 3バンド
赤外線 6バンド |
この結果、台風や集中豪雨をもたらす雲などの移動や発達を、これまで以上に詳細に把握することができるようになります。さらには、コンピュータで処理された海面温度、上空の風などもより精細に算出されるため、台風・低気圧・前線の動きの把握などの向上が期待されます。
|