フェーン現象 北陸は猛暑に
東海地方は、6月4日に梅雨入りし、平年より3日早い7月18日に梅雨明けしました。
県内の梅雨の期間中の降水量は、岐阜で、ほぼ平年並みの414mm(平年406.5mm)、高山では、2000年以降最も少ない246.5mm(平年309.7mm)となり、幸いにも大雨による災害は発生しませんでした。
7月にはいると、県内では連日最高気温が30℃を超えましたが、7月2日には北陸地方でも気温が上昇し、金沢では、7月としては過去3番目にあたる37.0℃、富山でも36.1℃を観測しました。この日は、日本海にある低気圧に南から暖かい風が吹きこみ、北陸地方はフェーン現象により気温が上昇しました。
7月2日13時の気象状況
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富 山 |
岐 阜 |
気温(℃) |
34.7 |
32.1 |
平年の最高気温(℃) |
26.7 |
28.9 |
湿度(%) |
36 |
57 |
露天温度(℃) |
17.4 |
22.5 |
風向・風速(m/s) |
南南東 7.4 |
南西 2.5 |
7月2日13時には、岐阜では気温32.1℃、湿度はやや高く57%、南西2.5m/sの風が吹いていました。一方、富山では気温は平年に比べ8℃高い34.7℃、湿度は36%と低く、風速7.4m/sの南南東の強い風が吹いていました。
雲が発生した高さは?
フェーン現象とは、水蒸気を多く含んだ空気の塊が高い山を越えるときに雲が発生し、雨を降らし、その後、乾燥した空気の塊が山の反対側を吹き下りるときに気温が上昇する現象です。
上の図は、7月2日のフェーン現象を表したものです。乾燥した空気は100m上昇するごとに気温は約1℃が低下します。また、雲の中のように飽和した空気(湿度100%)は100m上昇すると約0.5℃低下します。
濃尾平野にあった気温約32℃の空気が、岐阜県と富山県境の約1600mの山の斜面を上昇し、高さXmの地点で露点温度(本コラム016参照)に達して雲が発生し、雨が降り出しました。その後、空気中の水蒸気が雨として放出されたため、乾燥した空気になり富山平野に吹き下り、気温が上昇、富山の気温は34.7℃になりました。
雲が発生・消滅した高さX・Yを求めてみます。
●雲が発生した高さ(X)
岐阜の気温と露天温度(22.5℃)から、
X=(32.1℃-22.5℃)÷1/100=960m
●雲が消滅した高さ(Y)
山頂の気温は、22.5℃-(1600m-960m)×0.5/100=19.3℃
19.3℃+(1600m-Y)×0.5/100+Y×1/100=34.7℃
Y=1480m
濃尾平野でも西風が吹き、伊吹山や養老山地を越えて乾燥した下降気流によるフェーン現象により、気温が上昇することがあります。2007年8月16日に岐阜で39.8℃、揖斐川で39.6℃の過去最高気温を観測しましたが、これもフェーン現象が原因でした。 |