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岐阜市で12月6日に初雪


岐阜市で12月6日に初雪

  日本列島は12月5日以降西高東低の冬型の気圧配置になり、6日朝には上空500hPa(約5,500m)では真冬並みの-36℃の寒気が北陸地方まで南下、850hPaの-6℃(平地でも雪)のラインも本州南岸まで南下しました。
  このため、九州や四国の山地でも雪が降り、特に愛媛県と徳島県の県境では約130台の車が立往生や停電や発生するなど、日常生活に大きな支障がでました。



地上天気図12月6日6時
気象庁Webサイトより

気象衛星画像(可視)12月6日10時
強い寒気に伴い日本海、渤海湾に筋状の雲が見られる

  県内でも山間部では雪が強まり、白川村では7日には平年の約5倍にあたる106cm、また高山市でも14cmの積雪を観測しました。
  一方、岐阜市では6日に平年より8日早い初雪を観測しました。


岐阜城も真っ白(12月6日撮影)

 このあとも12月13日から18日にかけて日本列島に寒気が次々入り、特に12月17日には北海道付近で低気圧が猛烈に発達し(948hPa)、新潟県では積雪が200cmを超す地域がでるなど全国的に大雪になりました。

  県内でも飛騨市河合で148cm、郡上市長滝で144cm、高山市では12月としては2番目の記録にあたる98cmを観測するなど、山間部を中心に大雪になり、約7800世帯で停電、東海北陸自動車道をはじめ主要道路の通行止め、さらには高山本線の不通など、大きな被害が発生しました。また、岐阜市でも15cmの積雪を観測しました。


12月でも大雪になった理由

  冬のシベリアの気温は-20~-30℃以下と非常に寒く空気も乾燥しており、この空気が北西季節風として暖かい日本海を渡るときに海面から熱と水蒸気が供給されて、大気下層が不安定になります。
  海面から供給されるエネルギー量や水蒸気量は、海水温と気温との差と風速に比例します。なお、冬の日本海では、露天風呂のように水蒸気が立ち上がっているのが見られるそうです。

  下の図は日本海側で降る雪の仕組みを表したものです。
  図のように、日本海の水温は対馬海流の影響で日本列島沿いでは高く、海水温と気温との差が大きくなり大気が不安定になり、気象衛星画像に見られるような筋状の雲(積乱雲)が列島の脊梁山脈により強制的に上昇させられ、日本海側で雪が降ります。
  寒気が強いと風が強く、また積乱雲の高さも高くなり、雪雲が山脈を越え、飛騨地方や美濃地方の山間部で雪を降らせます。

  一般的に12月の日本海の水温は真冬の1月に比べて約3度高く、そこに今回真冬並みの強い寒気が次々流入したため、海水温と気温との差が大きくなり、雪雲が発達して真冬並みの大雪を降らせました。


2014年を振り返って

  全国的には、2月上旬に関東甲信地方で南岸低気圧により2週連続の大雪になり、甲府市では過去最大の2倍以上の114cmの積雪を記録しました。

  8月には日本列島に横たわる前線や台風11号により、北日本から西日本の広範囲で大雨が降りました。特に8月20日には広島市で大規模な土砂災害が発生し70名を越す死者を出すなど、全国的に災害が発生し「平成26年8月豪雨」と命名されました。

  10月には10年ぶりに2週連続で台風が日本に上陸しました。
  また、今年は7月から9月にかけて沖縄県、三重県、北海道で大雨特別警報が発表されるなど極端な気象現象が目立ち、記録に残るような大きな気象災害が発生しました。

  一方、県内でみると、梅雨入りは若干早かったものの梅雨明けは平年と同じで期間は平年並みであったが、降水量は平年の半分程度と少なく、夏の水不足が心配されました。
  しかし、8月にはいると前線や台風の影響により豪雨に見舞われ、本巣市樽見、関市板取や高山市では400mm近くの降水量を観測し、土砂災害等の被害が発生しました。岐阜市の8月の降水量は平年の2.5倍、気温は平年に比べ1℃低くなるなど不安定な夏になりました。

  12月は低温傾向が続き、20日までの岐阜市の平均気温は5.2℃と平年の7.5℃を大きく下回り、県内は低温と記録的な大雪が続きました。しかし、気象庁発表の東海地方の1月中旬までの天候の見通しでは、12月下旬以降気温、降水量とも平年並みと予想されています。

  来年はひつじ年。雲の呼び名に「ひつじ雲」がありますが気象では「高積雲」といいます。この雲が現れると翌日は雨といわれますが、来年こそ大きな豪雨災害がなく、穏やかな年になることを願うものです。


【一口コラム】
大気が不安定とは

  上層に冷たい空気があり、地上には温められた空気の層がある状態のこと。
温かい空気は上昇し冷たい空気は下降しようとします。このため、対流が起きて積乱雲が発生します。
  上層の気温と下層の気温差が大きいと積乱雲は発達します。さらに、下層の空気が湿っていると一層積乱雲は発達します。