梅雨の雨の降り方
東海地方は、平年に比べ4日早い6月4日に梅雨入りしましたが、沖縄や奄美地方はもう梅雨明けし、平年より10日前後早い6月18日でした。
一方、関東地方では水不足が心配とのニュースが出ていますが、岐阜でも梅雨入り後から6月20日までの降水量は86.5mmと平年の104.9mmよりやや少なめで経過しています。
一般的に、梅雨の時期の雨の降り方は、前半の「シトシト降り(陰性梅雨)」と後半の「ザーザー降り(陽性梅雨)」の二通りがあり、特に後者は大きな被害をもたらすことがあります。
① シトシト降り(陰性梅雨)
梅雨前線が南にあると、前線の北側では雲が広がって天気がぐずつきます。
6月17日の気象衛星画像では、北海道付近にある低気圧に伴う雲域が、北海道付近を広くおおっています。一方、四国、九州の南の海上は梅雨前線があり、前線の北側で白く淡い雲が中部地方から西に帯状に延びています。このため四国の南から九州南部では弱い雨が降り続きました。
地上天気図(6月17日12時)
気象衛星画像(同時刻)
② ザーザー降り(陽性梅雨)
梅雨前線が日本列島に停滞すると、前線の南側では暖湿な気流が流入し、積乱雲が発生しやすくなり激しく雨が降ります。
6月20日には、太平洋高気圧の勢力が強まり梅雨前線が北上し、前線が波打ちはじめ(前線波動)20日には折れ曲がったところに小さな低気圧が発生しました。この低気圧に、高気圧の周囲を回って暖かく湿った気流が前線に流れ込み、気象衛星画像では九州に真っ白な雲画像(発達した積乱雲)があり、熊本県甲佐では時間雨量150mmを観測するなど、九州地方では大雨となり大きな被害が発生しました。
このような事例は、太平洋高気圧の勢力が強まる梅雨の末期によく現れます。
地上天気図(6月17日12時) (注)➡ 暖湿流
気象衛星画像(同時刻)
天気予報 適中率は83%
梅雨前線は、太平洋高気圧からの高温多湿な気流と、日本の北側の乾燥した大陸の高気圧の境にできる前線で、二つの高気圧の勢力の強弱により前線が南北に移動します(本コラム016参照)。このため、この時期の天気予報はむずかしいといわれています。
6月17日発表の週間天気予報では、明後日以降の予報の信頼度はCランク(確度がやや低く、降水の有無の予報が翌日に変わる可能性が高い)になっています。また、晴れると気温が上昇するため、最高気温の幅も大きくなっています。
また、月別の天気予報の精度はどの程度でしょうか。
気象庁では天気予報を1日3回(5時、11時、17時)発表していますが、このうち17時発表の天気予報に関しての「明日と明後日の降水の有無の適中率(1992年~2015年)」を気象庁サイトから抜粋したものが下表です。
月別の降水有無の適中率(1992年~2015年) (単位:%)
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
平均 |
明日 |
82 |
83 |
83 |
85 |
85 |
82 |
80 |
79 |
82 |
85 |
85 |
83 |
83 |
明後日 |
80 |
80 |
80 |
82 |
81 |
76 |
75 |
75 |
77 |
81 |
81 |
81 |
79 |
注1:赤字は年平均より低い適中率
注2:降水有りとは1mm以上の場合
年平均の適中率は、明日が83%、明後日が79%ですが、月別では6月から9月の梅雨から夏にかけて、精度が平均より低くなっています。これは、梅雨前線の位置の予想が難しいことと、夏には夕立により狭い範囲での降水の頻度が多いことが原因です。
なお、1992年の明日の適中率は80%でしたが、2015年には83%になり精度は年々上昇しています。
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