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12月5日 岐阜は濃霧


12月5日 岐阜は濃霧

  岐阜市内は12月5日の明け方から濃い霧に包まれました。

  岐阜地方気象台によると、6時40分に靄(もや)を観測、6時55分には視程(ものがはっきり見える距離)1km未満の霧におおわれ、7時過ぎには視程が0.5km未満になりました。この状態が9時半ころまで続き、その後11時頃に霧はようやく晴れ、6時前に美濃地方に出されていた濃霧注意報は11時に解除されました。

  この霧は、前日の夜遅く雨が降り、空気が湿った状態で朝晴れて気温が下がったため、放射冷却によりできた「放射霧」です。岐阜市などの平野部の放射霧は、初冬の夜に雨が降ったあとよく見られる現象です。


岐阜市内12月5日8時頃

  12月4日、5日の岐阜の気温から霧の発生状況を推測してみます。

  本州南岸を通過した低気圧により4日の18時頃から24時頃まで雨が降り、24時の気温は11.5℃、湿度は96%でした。
  この数値から空気中の水蒸気量を計算すると9.9g/㎥になります。飽和水蒸気量(空気中に含むことができる量)が9.9g/㎥となる気温は10.8℃ですが、5日の4時過ぎに気温は10.8℃以下になり、このころから霧が発生したと思われます。なお、最低気温は8時過ぎに9.0℃を観測しました。


岐阜の12月4日、5日の気温・降水量・湿度
  12月4日 12月5日
時刻
(時)
20 22 24 2 4 6 8 10
気温
(℃)
12.0 11.2 11.5 11.4 11.4 10.3 9.2 11.4
降水量
(mm)
3.5 0 1.5 0 0 - - -
湿度
(%)
93 95 96 96 96 97 97 98
(注)降水量は、前2時間の数値。


地上天気図 12月4日21時


地上天気図 12月5日12時
気象庁Webサイトより


飛騨地方の朝霧(放射霧)

  飛騨地方の盆地などでは昼夜の寒暖の差が激しいため、放射霧が発生しやすく、また冷たい空気は重いため盆地にたまりやすく、9月から12月にかけて朝霧(放射霧)がよく見られます。ほとんどの場合、霧は午前中に消え、その後は良い天気になります。飛騨地方では、「朝霧がでると、今日はいい天気だ」とよく言われます。

  各地の気象台では、霧の発生日数を観測していますが、飛騨地方と地形条件がよく似た長野の霧日数は、年間11.0日で岐阜の4.9日の2倍以上もあります。なお、10月から12月の間に約6割の6.1日発生しています。

  下の写真は、韓国上空を通過した際に飛行機から撮影したもので、山に囲まれた河川沿いの渓谷に霧がかかっているのが見えます。これは朝霧(放射霧)だと思われます。


韓国上空 11月15日8時頃撮影


霧の種類

  霧とは、地表付近にある水蒸気が凝結し、小さな水滴となって空気中に浮かんでいる状態のことです。山に雲(層雲)がかかっているのを麓から見ることがありますが、雲(層雲)が地上と接していると、霧に分類されます。12月5日は、私たちが雲(層雲)の中にいたことになります。

 霧は、でき方により、放射霧の他に、移流霧蒸発霧(蒸気霧)滑昇霧(上昇霧)の4種類あります。

①移流霧とは、暖かい空気が流れこんできた時に、冷たい水面や地面によって冷やされて発生する霧です。暖かい空気が入って来やすい初夏の海に多く発生し「海霧」とも 呼ばれます。

②蒸発霧(蒸気霧)とは、水面から蒸発している水蒸気が、冷たい空気によって冷やされて発生する霧です。露天風呂や熱い飲み物から上がる湯気と同じ原理で、 空気の冷たい冬の川に多く発生し「川霧」とも呼ばれます。



蒸発霧
(2014年9月25日 長良川)

③滑昇霧(上昇霧)とは、水蒸気をふくんだ空気が山の斜面に沿ってのぼっていった時に、上の方で冷えて発生する霧です。山の下から見ると雲になります。

  なお、気象台では濃い霧により交通機関の著しい障害などの災害の発生が予想される時に濃霧注意報を発表します。その基準は視程が100m以下になる場合です。


2016年を振り返って

  当コラム034で報告したように、今年の正月は全国的に晴天で記録的な高温になり、県内でも降雪量が非常に少なくなりました。その後一転、1月後半になると、西日本を中心に寒気が入り西日本は大雪になり、また奄美大島では115年ぶりに雪が降りました。

  今年の台風は、1号の発生は過去2番目の遅さでしたが、その後次々発生し、日本に上陸した台風は過去2番目に多い6個になりました。8月中旬以降4個の台風が相次いで北日本に上陸し大きな被害をもたらしました。

  また、今年の平均気温は世界、日本とも過去最高値を更新するなど、いろいろな気象現象があらわれた1年でした。

  日本気象協会では、気象予報士100名を対象にした今年の天気を表す漢字を調査した結果、1位に「台」が選ばれました。また、一般の方500名を対象にした調査では、1位は「雨」で、いずれも災害をもたらす漢字でした。これも、災害の発生が多かったことと、また皆さんの災害への関心の高さの表れだと思います。

  幸いにも、岐阜県内では今年大きな災害はありませんでした。来る2017年も穏やかな年であることを願うものです。


【一口コラム】
霧と靄(もや)の違い

  霧は、地表付近にある水蒸気が凝結し、小さな水滴となって空気中に浮かんでいる状態のことです。 この水滴が、光を反射したり吸収したり散乱させたりするために、視界が白っぽくなります。気象台では、視程(ものがはっきり見える距離)が1km未満の場合を「霧」、視程が1km以上10km未満の場合を「靄(もや)」と呼びます。ただし、湿度が75%以上でなければ「靄(もや)」とは呼ばず、「煙霧」と呼びます。
  また、視程が陸上で100m以下、海上で500m以下になった場合を濃霧といいます。

気象庁Webサイトより