2015年 世界の平均気温は過去最高
前号で、日本では昨年の年平均気温は、過去4番目の高温になったと報告しましたが、2月1日には気象庁から「2015年 世界の年平均気温が最高値を更新」と発表がありました。
その内容は、「2015年は1891年の統計開始以来の最高気温を更新し、長期的には100年あたり0.71℃で上昇。1990年代半ば以降は高温になる年が多く、特に上位10位までの9回が2000年以降で占めている」とのことです。
下の二つの図は、世界の年平均気温の変化傾向を示したものです。右の1979〜2015年の方が気温上昇(濃い赤い点)の地域が多く、世界的に近年の気温上昇が著しいことが分かります。
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全国の9割の地点で冬日に
日本では、今年に入っても1月中旬までは高温傾向でしたが、1月23日から冬型の気圧配置が強まり、日本の上空1500m(850hPa)(注)には九州付近に-12℃、さらには沖縄付近まで-6℃の寒気が流入しました。
このため、1月25日には沖縄の久米島や名護では、1890年の観測開始以来初めてみぞれを観測しました。また、奄美大島でも、観測開始以来の初雪を観測するなど、九州を中心に西日本では記録的な低温になり、大雪や水道管の破裂など、この地域としては予想外の被害が発生しました。
(注)850hPa(上空1500m)と、地上との気温差は約9℃。
850hPaで‐6℃は、地上で雪が降る気温。
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下の図は、1月25日の最低気温の状況です。九州・沖縄地方を中心に、全国の74地点で1月の過去最低気温を記録し、全国の約9割の地点で氷点下の冬日を記録しました。県内でも岐阜市で-5.0℃、高山市
六厩(旧荘川村)では26日に-20.5℃と、共に今冬の最低気温を記録しました。
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しかし、最高気温が平年値を下回ったのは1月19日から約1週間、その後は平年並み若しくはやや高めの気温が続いています。
このため、今年は梅の開花が早く、名古屋で平年より14日早い1月29日、岐阜でも6日早い2月8日に気象台から開花の発表がありました。
岐阜市の梅林公園の梅まつりは3月12・13日に開催されます。2月18日現在では、遅咲きの梅も咲きはじめ、3月初旬には園内全体が一番の見頃になりそうです(詳細はhttp://www.city.gifu.lg.jp/13760.htm)。なお、昨年は梅祭り(3月14・15日)にちょうど見頃を迎えました。
2月14日には、日本海を発達しながら低気圧が通過したため、日本列島に南からの暖気が流入し、気温が上昇するとともに強風が吹き、東海地方や関東地方では「春一番が吹いた」との発表がありました。東海地方での春一番の発表は3年ぶりです。
この日は、多治見や関ケ原をはじめ、全国の63地点で2月の最高気温を、また六厩をはじめ、全国の24地点で2月の24時間降水量の記録を更新しました。
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節分祭で鬼退治
先日、岐阜市加納にある玉性院の節分祭PRの赤鬼(下の写真)を見つけました。
節分とは季節を分けることを意味し、立春や立夏などの前日のことを言います。旧暦では立春から年が始まることから、昔は大みそかにあたる節分の日に新年が幸多くなるよう、災害や病、飢饉などを起こすと考えられていた邪気(鬼)を追い払う節分祭が行われるようになったと言われます。
まだ、今年も2か月が経過しない中で、前述のように気温や雨量が過去の記録を更新しており、今後の災害が心配されるところですが、節分祭により鬼が退治され、今年も大きな気象災害が起こらぬよう願うものです。
岐阜市加納 玉性院付近にて(2月1日撮影)
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【一口コラム】
春一番とは
立春から春分の日の間に最初に吹く南よりの暖かい風で、発達中の低気圧が日本海を通過するときにおこります。東海地方では、名古屋・岐阜・津・静岡の気象台のいずれかで、日最高気温が平年値を上回り、最大風速が8m/s以上の南寄りの風が吹いた時に発表しています。なお、北日本や沖縄では発表されません。
また、気象学的な根拠・意味が不明確なため、平年値などの統計は行っていません。
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